
【私の原宿】白根ゆたんぽが振り返る「裏原がない時代」
白根ゆたんぽ
1968年埼玉県深谷市生まれ。桑沢デザイン研究所卒業後、渋谷PARCOが発行していたフリーペーパー「GOMES」のバイトなどしつつ、イラストレーターとして活動を開始、さまざまなクライアントワークにイラストを提供、現在に至る。初個展は表参道のHBギャラリーにて。今でも原宿やその近辺にて個展の開催や企画展への参加など多数行っている。最近では、BEAMSの「飲食店応援PROJECT」にも参加。
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キャットストリート
キディランドと当時はVIVREで今はGYREの間にある遊歩道を渋谷の方にすこし歩いて、路地を左に入るとちょっとした住宅地があって、そこが初めて東京で住んだ場所。原宿に猛烈な憧れがあった、とかでは無いのだけど、いくつかの理由と少しのラッキーがあって、ともかく、大家でもある元気なお婆さんと静かなお爺さんが暮らす家の2階の部屋を格安の家賃で借りることができた。
風呂はなかったけど、遊歩道からのびる隠田商店街には銭湯やコインランドリー、肉屋、米屋、ちょっとしたスーパーのような店もあったのでけっこう快適に暮らせていた気がする。ここからバイト、渋谷のハンズへ材料の買い出し、コンペの申し込みや搬入、イラストレーターの先輩の手伝いなどいろいろ行っていた。はじめて6桁のイラスト料が振り込まれた時、遊歩道沿いのNICEって雑貨屋さんで前から狙っていたカーキのリュックを買ったり。原宿に「裏」がまだ無かった頃の事です。
今回写真を撮るため少し散策してみた。銭湯はもちろん、いろんなものが無くなっているけど(大家さんの家も調べてみたら無くなっていた… )保育園やCASSIDIYなどいくつかは当時の雰囲気のままだったり、そんな中でも商店街の角にある緑のひさしの八百屋さん! 堂々とした健在ぶりに、超現実な存在感というかSF的な感動すら受けた。
話を戻してその後、引っ越す事になった頃にその遊歩道は「キャットストリート」って言われてるらしい、と知って「え~? 」と思いつつも「なるほどね」と納得した覚えがある、若者じゃなくて猫が沢山いたんだっけ? うん、たぶんいろんな猫がウロウロしていた気がする。