キャットストリートの歴史。猫、そして寅が歩いたストリート!?
(2016/06/27)
「原宿」と「渋谷」を結び、高層ビルが立ち並ぶ明治通りと並行に走るこのストリート。
明治神宮前駅を降りて、途中にあるGYREの手前をよく見ると、「参道橋」と書かれる柱石があるのに気づく。1920年に表参道にかかる橋として架けられた橋の一部だ。ここがキャットストリートへの入り口だ。表参道を切り分けに原宿側のストリートと渋谷側のストリートに分かれる。
1920年、参道に架かる橋として建設された「参道橋」。現在も残る石柱は、1928年に架け替えられた時のもの
原宿・竹下口エリアから渋谷・宮下公園近くの明治通りに交わるところまで続く。今回は、特に一般的にキャットストリートと言ってイメージされるであろう渋谷側のストリートを取り上げていく。
かつて、この辺りは渋谷川(穏田川)という小川が流れるのどかな農村で、川からは鯉やフナ、ウナギなどもとれていたという。明治40年代には川の水流を利用した水車があちこちあり、精米業が盛んなエリアだった。この水車は葛飾北斎の「富嶽三十六景」の1つである「穏田の水車」のモデルにもなっている。今の姿から想像がつかないような話だ。
ちなみに渋谷川が暗渠になる前、この川沿いにあったアパートには、まだ世間に名の知られていない渥美清が住んでいた。今、自分が歩く同じ道を、当時の若い寅さんも闊歩していたのかと思うと不思議な気分になる。