
【カフェラテを巡る旅vol.2】手間暇を惜しまない、職人が追求したバレンシア香るカフェラテ
カフェラテは、ブラックが苦手な人のためだけに存在するわけではない。こだわりを持つコーヒー店には、むしろブラック愛好者にこそ飲んでみてほしいカフェラテが存在する。良きカフェラテに出会えば、きっと普段とは異なる角度からコーヒーを味わう楽しみに気付いてもらえるだろう。ということで、コーヒー激戦区・オモハラで、日本屈指のカフェラテを探し出してご紹介しようという連載がこの「カフェラテを巡る旅」である。
Vol.2:rag & bone × VERVE COFFEE ROASTERS
カフェが割拠するこのエリアに通ううち、行きつけのコーヒー屋というものが欲しくなる。美味しいのはいわずもがな、大通りから少し離れていて、席数は多すぎず少なすぎず、理解の範疇を超えない程度におしゃれで、できれば淹れる人のコーヒー愛がダイレクトに感じられる。そんな“程よく最高”な店がいい。
そういう意味で、「rag & bone × VERVE COFFEE ROASTERS」はパーフェクトだ。
今回の旅先は「rag & bone × VERVE COFFEE ROASTERS」
カリフォルニア・サンタクルス発の「VERVE COFFEE ROASTERS」は、農園から直接コーヒー豆を買い付け焙煎、抽出までを自社で行う。コンセプトは“Coffee is a fruit”。果実味にこだわった豆のセレクト、フルーティーな酸味を生かす焙煎方法、そしてそれを際立てる抽出方法。果実としてのコーヒー豆のポテンシャルを徹底して追求すること、それがVERVEのこだわりであり、他と一線を画す所以だ。

VERVEのロゴが入った「Kees van der Westen Spirit」のカスタムマシン
そんなVERVEの日本3号店として、アパレルブランドrag & boneとコラボレーションして誕生した当店。スタッフは、定期的にカッピングをして豆を研究し、本国とディスカッションの上メニューの豆を決める。コーヒーのプロ同士が国境を越えてコミュニケーションを取りながら、最高のコーヒーを提供しているのだ。カウンターにはカリタウェーブのドリッパーと、ずっしりとした「Kees van der Westen Spirit」のカスタムマシン。ビシッと光るVERVEのロゴの存在感が、コーヒーへのプライドの高さを主張している。ハンドドリップもエスプレッソも妥協しないVERVEの本気を、カフェラテで確かめてみてはいかがだろうか。
エスプレッソドリンクやティーメニューも充実
カフェラテには、以前までSTREETLEVELという豆を使用していたが「VERVEの味が出ていない!」と協議の末、現在(2018/9)はよりフルーティーなSERMONという豆に変更したばかり。クオリティを追求すればこそ、より良い豆があれば随時柔軟に変える。そんな同店のラテはアレンジメニューを数種類だしている上、ひとつひとつが小さなカウンターで行なっているとは思えない手のかかりようだ。
カフェラテにオレンジを削り入れる
まずはラテバレンシア。仕上げの度にノーワックス・無農薬のオレンジを削り、チョコレートパウダーを振りかける。一口飲めば削りたてのオレンジピールの香りがふわっと広がり、直後にエスプレッソが追いかけてくる。果実味を残したコーヒーと生のオレンジ、それを繋ぐミルク。一体どれほど改良を重ねたのだろうか?と思わせる、計算づくの美味しさだ。
チョコレートパウダーをふりかけて「ラテバレンシア」が完成
香りを添えるチョコレートパウダーも、仕上げのひと振りの割に手が込んでいる。メキシコ産のIBARRAチョコレートを削り、パウダーにするところから手作り。どこぞのパティスリーのような仕込みが、毎朝このカウンターで行われているのだ。
「オーガニックシュガーラテ」も
もうひとつ、オーガニックシュガーラテもおすすめしたい。その名の通りシュガーシロップを加えた甘いラテだが、あなどるなかれ。VERVEのレシピはアルゼンチン産のオーガニックシュガーとお湯を2:1に溶いて、シロップを手作りすることから。コーヒーの飲み方を追求するあまり、コーヒー屋の域をとうに超えてしまった。市販のシロップとは違う、豆に合うように熟慮されたシロップはラテに抵抗なく溶けこみ、とがりの無い甘さが軽やかに広がる。シンプルだからこそ、手が込んでいるほど味わい深い。
もはや職人の手仕事とでもいうべき「rag & bone × VERVE COFFEE ROASTERS」のカフェラテ。一度飲めば、店先を通りかかるたび、階段を駆け降りて行きたくなるはずだ。
Text:Mizuki Omotani