頭の中を緻密な点描画で表現
表参道のGYRE GALLERY(ジャイル・ギャラリー)にて、GOMAの個展「ひかりの世界」が、2024年6月29日(土)まで開催されている。
GOMAは、オーストラリア先住民アボリジナルの伝統楽器「ディジュリドゥ」の奏者であり、画家。1998年にオーストラリアで開催されたバルンガディジュリドゥ・コンペティションにて準優勝を果たし、国内外で広く活動していたが、2009年交通事故に遭い高次脳機能障害を発症。活動を休止するも、事故の二日後から緻密な点描画を描き始めるようになり、現在では多数の個展を開催して注目を集めている。2012年には本人を主人公とする映画「フラッシュバックメモリーズ3D」に出演し、東京国際映画祭にて観客賞を受賞。2020TOKYOパラリンピック開会式ではひかるトラックの入場曲を担当するなど、活躍の幅を広げ続けている。
事故後は記憶喪失や昏睡などの後遺症にも見舞われるようになったGOMA。アメリカの研究では「後天性サヴァン症候群」と診断される。「後天性サヴァン症候群」とは、脳に傷を負ったときに美術や音楽、数学などの分野で特別な才能を発揮するようになる、極めてまれな現象だ。
事故から十数年が経って、日常生活にほぼ支障はなくなり、ディジュリドゥの演奏も再開したが、今も一日の大半を絵画の制作に費やしている。彼は、意識を失うと真っ白い発光体に包まれたような世界が現れ、意識が戻るにつれて次第に色がついたものになっていくという。そんな景色を、彼は「ひかりの世界」と名付け、日々描きとめている。
会場では彼の音楽や絵をもとにした映像が流れ、GOMAのクリエイションをさまざまな感覚で味わうことができる。会期中にはGOMAによるyoga+ディジュリドゥ演奏のイベントも行われる*。今、表参道は生い茂った欅並木にあたたかな光が差し込む、1年のうちでもっとも気持ちの良い季節。そんな中でGOMAの頭の中に広がる、あたたかさと刹那的な美しさを感じる世界に没入してみてほしい。
*現在は予約受付終了
■クレジット
画像1:ひかりの粒子,2024,B1,728✕1030,Acrylic on Illustration board
画像2:ひかりの粒子,2024,B2,515✕728,Acrylic on Illustration board
画像3:ひかり,2023,S10,530✕530,Acrylic on Canvas
画像4:雪,2023,B3,364✕515,Acrylic on Illustration board
画像5:ひかりの残像,2023,S6,410✕410,Acrylic on Canvas
画像6:ひかりの珊瑚,2022,S10,530✕530,Acrylic on Canvas
画像7:Waterfall,2020,F40,1000✕803,Acrylic on Canvas
■概要
GOMA個展「ひかりの世界」
開催期間:2024年5月4日(土)〜6月29日(土)
開催場所:GYRE GALLERY
住所:東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE 3F
営業時間:11:00-20:00
定休日:不定休
電話番号:0570-056990
>>EDITOR’S VOICE
同じくGYREのB1Fにあるインテリアショップ・CIBONE(シボネ)にて、親子で楽しめるイベント「KODOMO CIBONE(コドモシボネ)」が開催中です。大人向けのショップがメインのGYREですが、お子さんと一緒に楽しめるアートやイベントもあるのが嬉しいですね。
※敬称略
Text:Arisa Watanabe
INFORMATION
表参道のGYRE GALLERYでGOMAの個展「ひかりの世界」が開催 事故をきっかけに開花した才能
- 住所
- 東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE 3F
- 営業時間
- 11:00-20:00
- 定休日
- 不定休
- オモハラリアルスタッフ
OMOHARAREAL編集室