ステレオタイプなヒーローへの挑戦状
神宮前・NANZUKA UNDERGROUNDにて、Hebru Brantley(ヘブル・ブラントリー)の新作個展「Traveling Without Moving」が、2023年11月18日(土)〜12月24日(日)の期間で開催される。
ブラントリーは、シカゴ生まれのアーティスト。デザインやイラストレーションのバックグラウンドを経て、現在はロサンゼルスにて壁画やペインティング、立体作品、インスタレーションなど精力的に創作活動を行っている。
ブラントリーは1960年代から70年代にかけてシカゴのサウスサイドで起こったアフリコブラ運動(AfriCOBRA)に多大な影響を受けており、アフリカ系アメリカ人としての自身の系譜と切り離せないものと捉えているという。そんな彼の作品は、アメリカのステレオタイプな従来のヒーロー像や主人公の在り方に対する挑戦であり、鑑賞者に多様な視点を与える現代の物語でもあると言える。
FLYBOY(フライボーイ)と名付けられた大きなパイロットゴーグルをつけたキャラクターは、第二次世界大戦で戦ったアフリカ系アメリカ人と、米軍史上初のアフリカ系アメリカ人の航空部隊「タスキーギ・エアメン」に由来。「ダーク・フィクション」という大宇宙の探求をテーマにしており、その背景にはアイデンティティ、出自、人々の考え方などにまつわるメッセージが含まれている。
本展では、フライボーイの宇宙への旅を語る一直線上の物語によって紡がれた時代をテーマに、高さ2mを超えるロケットのインスタレーションと、約13点の新作平面作品を発表。NANZUKA UNDERGROUNDにおける初の個展となる本展について、ブラントリーは「文化的なアイデンティティ、スピリチュアリティ、そして成長(またはその欠如)に関連するムーブメントについての議論を通した、私の個人的な創造の旅」と語っている。
さまざまな社会問題について、郷愁や優しさ、強い精神、力や希望といったポジティブな文脈で表現するブラントリー。原宿との相性も良いポップアート的な作品群を通じて、肩肘張らずに世界の課題と向き合える展示会となっている。
■キャプション
画像1:I'll Huff and I'll Puff(The Morning Call),2023,Acrylic, diamond dust, oil pastel, spray paint, canvas,collage on canvas,H223.5 x W175.3 cm
画像2:Theory of Flight as Discussed by a Millenial 2023 Acrylic, spray paint, pastel,daimond dust, colage, paint marker 152.4 cm
画像3:Sunflower Seeds By The Pound (Sunshower) 2023 Acrylic, pastel, collage Acrylic,spray paint, collage H69 x W177.8 cm H119 x W177.8 cm
画像4:Waves 2022 Acrylic, spray paint, pastel H127 x W122 cm
画像5:Still 2023 Acrylic, paint marker, diamond dust, rhinestone, pastel H167.6 x W188 cm
画像6:Traveling Without Moving 2023 Acrylic, spray paint, pastel H132 x W152 cm
画像7:Under the Watchful Eye of The Sungod 2023 Acrylic, diamond dut, pastel H177.8 x 157.5 cm
画像8:Grounded in Tradition(Red Tape) 2023 Acrylic, spray paint, pastel, gold leaf,diamond dust, collage H204.5 x W170 cm
■概要
ヘブル・ブラントリー個展「Traveling Without Moving」
開催期間:2023年11月18日(土)〜12月24日(日)
営業時間:11:00-19:00
開催場所:NANZUKA UNDERGROUND
※銀座・MEGUMI OGITA GALLERYでの個展「Still」展と同時開催
住所:東京都渋谷区神宮前3-30-10
>>EDITOR’S VOICE
NANZUKA UNDERGROUNDから明治神宮前方面に向かって4分ほど歩いた場所にある、tHE GALLERY HARAJUKU。本ギャラリーでは、編集者・アーティストとして知られる米原康正がキュレーターを務めており、米原さんお墨付きのアートの数々を楽しむことができます。
Text:Arisa Watanabe
INFORMATION
神宮前・NANZUKA UNDERGROUNDでヘブル・ブラントリーの個展が開催 多様な視点を与える作品群
- 住所
- 東京都渋谷区神宮前3-30-10
- 営業時間
- 11:00-19:00
- 定休日
- 月曜日、火曜日
