キャットストリートの今昔:OMOHARA TIPS Vol.4
■メイン画像:写真協力:善本喜一郎「東京タイムスリップ1984⇔2022」(河出書房新社)
表参道・原宿エリアの文化や歴史にまつわるちょっとしたネタをご紹介する「OMOHARA TIPS」。今回は人気ショップが並ぶキャットストリートの誕生秘話をご紹介!
渋谷と原宿をつなぎ、連日多くの人が行き交うキャットストリート。その足元に川が流れていることをご存じだろうか?
ゆるやかなカーブが、かつて川だったことを物語る
1964年の東京オリンピックを前に暗渠化された渋谷川。源流である新宿御苑から原宿エリア(神宮前3丁目〜神宮前6丁目近辺)にまたがる部分は、とくに隠田川と呼ばれていて人々の暮らしに欠かせない存在だったという。
というのも、今から100年以上前。このあたりは精米業が盛んで、水田が広がるのどかな農村だった。稲作に欠かせない水を引いていた隠田川にはいくつもの水車があって、葛飾北斎の「富嶽三十六景」の一つ「隠田の水車」としてモデルにもなっているのだ。
描かれているのは水車のために隠田川から引き込まれた分流で、実際の旧隠田川はもっと大きかったと考えられる。葛飾北斎『富嶽三十六景』より『隠田の水車』出典:ウィキメディア・コモンズ (Wikimedia Commons)
暗渠化された隠田川の上に遊歩道が整備されたのは1967年3月のこと。現在のキャットストリートの原型だ。当時は滑り台やブランコなどの遊具が並んでいたそうで、その一部は現在も残っている。娯楽の少ない時代に、このストリートは子どもたちの恰好の遊び場だったに違いない。
暗渠の上に作られた公園には遊具が設置され、時間帯によっては近隣の保育所や学校の子供たちで賑わう。(神宮前5丁目付近)
今から約40年前、1984年当時の公園 写真協力:善本喜一郎「東京タイムスリップ1984⇔2022」(河出書房新社)
時代が変わっても、若者たちの遊び場であることに変わりはない。流行りのスイーツやファッションを求めて多くの若者が訪れる日本有数のストリートと言えるだろう。
賑やかな表通りに対して、閑静な裏通りに隠れた名店が点在するのもこのエリアの魅力。路地を曲がった先に広がる住宅地には、人気バーガーショップや気鋭のアーティスト作品を紹介するモダンなギャラリーなど、通好みのお店がひっそりと佇んでいる。
表と裏に垣間見える二面性も、キャットストリートが愛され続ける理由なのかもしれない。
裏通りでひと際賑わいをみせるTHE GREAT BURGER
ところで、旧渋谷川遊歩道はなぜ「キャットストリート」と呼ばれているのだろう。
“猫の額”ほどに狭いとか、とある伝説のバンドが関係しているとか、諸説あるその理由を調べてみると背景に時代を象徴するカルチャーが見えてきた。気になる人はぜひ下のURLリンクから記事をCheck!
>>【COLUMN】キャットストリート
キャットストリートの歴史。猫、そして寅が歩いたストリート!?
Text:Yuya Tsukune
Edit:OMOHARAREAL編集部