Feb gallery Tokyoから愛を込めて。アートなもの、集めました
南青山の新しいアートスペースFeb gallery Tokyoは、アートを通じた繋がりをコンセプトに掲げるギャラリーだ。今回、アートキュレーションメディア「ARTRANDOM」とともに「アートなものならなんでもあり!」をテーマに12月24日(金)までポップアップエキシビション「Winter Art Market」を開催中。
海外、特にヨーロッパ圏ではこの時期、クリスマスマーケットが都市部の各所で開催される。日本の蚤の市と同様、屋外の公園、広場などで行われるのが通例だが、住宅街の中にあるFeb gallery Tokyoの空間でアートマーケットを開くなんて、面白くないはずがない。
ギフト選びの機会が多くなるこの季節、センスのいいアートなアイテムを探しに、オープニングレセプションへと赴いた。
ギャラリーと聞いて、高尚で近づきがたいイメージを抱く人は多いかもしれない。場所が南青山とくればなおさらである。
しかし、今回の企画はアートマーケット。オープンに開かれたアートのフリーマーケットである。作品そのものだけでなく、本や雑貨など関連のアイテムを数千円〜購入することができる。オープニング企画展「Keep in Touch」では予約制だったが今回は開廊している時間であれば誰でも自由に足を運ぶことが可能だ。
例えばこの出店ショップ特製の手作り正月飾りは3,300円。縁起が良さそうでつい欲しくなる。
作品も売られているが、通常の展示会とは違い価格帯も幅広く、物によってさまざま。作品も多く集まるため自分にフィットしたアート作品が探しやすいと言える。
交流のあるギャラリーやセレクトショップ、個人所有のアート作品、アイテムが所狭しと並ぶ。会場にあるものほぼすべてに値札が貼られ、購入することが可能。
ギャラリー内は「Keep in Touch」とはまた違った、賑やかな雰囲気。BGMにはあえてオーソドックスなクリスマスソングをセレクトしているのも、ホリデーシーズンに流れてくる海外のラジオを彷彿とさせる。
Feb galleryとコラボするARTRANDOMはFeb gallery Tokyoにも携わるアートプロデューサー /コンサルタントの田辺良太さんによって運営されている。 長いNY在住歴を持ち、マガジンハウスの海外エディターとしても活躍した田辺さんの、アート偏愛が詰まっているウェブサイトだ。
ARTRANDOM/Feb gallery Tokyoを運営する田辺さん。アート愛溢れる優しい人である。
アートとファッションをこよなく愛するセレクトショップ「DESPERADO」のスペース。バイヤー泉英一氏が世界中を飛びまわり、厳選した国内外の気鋭のデザイナー・アーティストのアイテムをラインナップしている。
壁面に大きく掲げられたエディションプリントは神宮前3丁目にギャラリー360°によるもの。額装されたインパクト抜群の作品が白壁に映える。
ギャラリーの角にはクリスマスツリーが設置してあり、ホリデー気分が高まる。その横にはソリを引くトナカイ、ではなくミヤギユカリさんの鹿の作品を添えて。
ダミアン・ハースト、アラーキー(荒木 経惟)、森山大道ら、巨匠たちが横並ぶ光景は圧巻。そういえばダミアン・ハーストの作品を間近に観たのは初めてかもしれない。
巨匠たちと隣合わせに、KAYOKOYUKIギャラリー所属のアーティストたちの作品がズラリ。設営には直接アーティストたちがFeb gallery Tokyoを訪れたそう。ギャラリーの色が明確に出ていて面白い。
奥にはアートブック専門のtwelve booksが本とトートバッグ、雑貨を出品。NYのニューススタンドのような雑然とした雰囲気が物欲をそそる。
「ARTRANDOM」コーナーでは20年前の「Relax」に、30年前の「BRUTUS」、アンディー・ウォーホールが創刊した「Interview」誌や、色々なアーティストの写真集などが置かれている。「ARTRANDOM」に掲載されているアイテムも購入可能で、思わぬ掘り出し物が見つかるかも。田辺さんによるアイテム解説も面白いので、気になる品物については声をかけてみるといいだろう。
ギャラリースタッフであり映像作家・藤井アンナさんおすすめの加藤崇亮さんの作品。イラストレーター・ヒロ杉山さんの紹介で参加が実現したという。「合同展(WAVE TOKYO 2021)で作品にとても魅力を感じて、参加していただいたんです」とアンナさん。作品と作家への愛は、居心地の良い空間を作りだす大切な要素なのかもしれない。
同じくギャラリースタッフの高田茜さんも、原宿のギャラリースペースでのアートイベントに参加するなどアーティストとして活動している。今回は初期に描いた作品を出品。展示販売を行なう。
クリスマスが近づき物欲が高まるこの季節。ショーウィンドウに並ぶ商品が愛おしく見えるというもの。もちろんブランド品もいいけれど、ちょっと趣向を凝らしたアートなアイテムを探すならFeb gallery Tokyoの「Winter Art Market」へ足を伸ばしてみるのがおすすめだ。
和気あいあいとした雰囲気の中、Feb gallery Tokyoが大切にする繋がりや親しみを感じられるアートマーケットだった。そこに並ぶアイテムは、きっとあなたを待っている。自分へのご褒美に、日頃お世話になっている人への感謝の印に、アートな感性が詰まった“オモハラ”らしいギフトを選んでみては。
■概要
ポップアップエキシビジョン「Winter Art Market」
開催期間:2021年12月4日(土)〜12月24日(金)
開廊時間:11:00〜18:00
開催場所:Feb gallery Tokyo
住所:〒107-0062 東京都港区南青山4-8-25
休館日:月・火曜日
Text:Tomohisa Mochizuki