人間の業や欲望を人形が担う
南青山のスパイラルホールにて、Q / 市原佐都子が劇作・演出する人形劇 「弱法師」が、2024年3月8日(金)〜3月10日(日)の期間で上演される。
本公演は、演劇の「共有知」を活用し、社会の「共有地」を生み出すプロジェクト「シアターコモンズ’24」プログラムの一環として上演。世界演劇祭テアター・デア・ヴェルトでの世界初演、高知・城崎での日本初演を経て、今回東京初演を行う。
本作は、第64回岸田國士戯曲賞を受賞した劇作家・演出家の市原佐都子が創作。日本に古くから伝わる説話『俊徳丸伝説』が持つ構造や悲劇性を現代に読み替え、日本の伝統的な文楽の形式を取り入れた、新しい人形劇が誕生した。
子捨て、病める身体への差別、親子の葛藤、救済といった原作の悲劇的モチーフが、クィア的な視点から徹底的に読み替えられた本作。ラブドール、マネキンといった人形たちは人形遣いにより生命を与えられ、人間たちの業や欲望、暴力性を引き受けながら、人間の代理として悲劇を演じる。
ナレーターはドイツで活躍する俳優・原サチコ(ハンブルグ劇場所属)、音楽は薩摩琵琶奏者でノイズやエレクトロニカを取り入れた前衛的な表現を行う西原鶴真が担当。巫女のように異なる世界を媒介する二人の声が物語を駆動し、観客の魂を激しく揺さぶる。
古き良き日本の姿と最先端のカルチャーが交錯する青山の街で上演される、『俊徳丸伝説』を現代に読み替えた前衛的な人形劇。人間の「生」と「性」を背負った人形たちが紡ぐ悲劇を、その目に焼き付けて。
■フォトクレジット
© Jörg Baumann
■概要
Q / 市原佐都子 「弱法師」
上演期間:2024年3月8日(金)19:00、3月9日(土)13:00/19:00、3月10日(日)14:00
開催場所:スパイラルホール
住所:東京都港区南青山5-6-23 スパイラル3F
チケット:一般5,000円/学生4,000円
※全席自由席
※本作には性的・暴力的表現が含まれます。
※推奨年齢:16歳以上。
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昨年12月、骨董通り沿いにオープンした松葉屋茶寮・方舟GALLERY。盆栽・古美術・現代アート・工芸などを取り扱うギャラリーとカフェが融合しており、日本文化をカジュアルに楽しめる施設です。スパイラルからは徒歩7分ほどの場所にあるので、観劇の前後に立ち寄ってみるのもおすすめです。
Text:Arisa Watanabe
INFORMATION
南青山のスパイラルホールでQ / 市原佐都子の人形劇「弱法師」が上演 俊徳丸伝説を現代に読み替えた作品
- 住所
- 東京都港区南青山5-6-23 スパイラル3F
- 営業時間
- 2024年3月8日(金)19:00、3月9日(土)13:00/19:00、3月10日(日)14:00
- 定休日
- なし