「The Darkest Hour」から夜明けへ
佃弘樹の新作個展「The Darkest Hour」が、NANZUKA UNDERGROUNDにて開催中。2022年6月18日(土)~7月17日(日)まで。
佃弘樹は、1978年香川県生まれ。東京を拠点に、国内外で高い評価を受けているアーティスト。佃の作品を理解する重要な要素として、佃が幼少期から親しんできたSF映画やTVゲーム、アニメーション、漫画、音楽、小説などの影響がある。佃は、自身の作品を「外の世界(アウターワールド)」と解説するが、そこには佃が幼少の頃から信じてきた未来と、その未来を生きる現実との乖離を読み取る事ができる。 佃の作品が持つ近未来的な世界観は、これまでの人生において記録してきた情報と、現在進行形の世界で読み取っているイメージが、歪みながら複雑に混ざり合って生まれた、もう一つの「現実」から生まれていると言えるのかもしれない。
今回の展示では、佃が長年集取してきたスター・ウォーズやガンダム、モンスター・ハンターなどの小型フィギュアを分解して再構築した立体コラージュを基に作られた立体作品と、ファウンドオブジェクトを多用して構成されたインスタレーション、またインク、シルクスクリーン、アクリルを駆使して佃が独自に発展させてきたミクストメディア・ペインティングの新作を展示。展示のタイトル「The Darkest Hour」は、コロナ禍に見舞われた世界の中で、ロシアとウクライナ間で起きた戦争、燻り続ける中国とアメリカの対立、富の格差の拡大に起因する社会不安といった問題が、より一層顕著になった世界の現在地点における佃の率直な感想を言い表している。
そして、佃は本展について、こうコメントする。「(中略)私の好きな映画のひとつ、インターステラーの中にデュラン・トマスという詩人の詩が引用されていました。『穏やかな夜に身を任せるな。老いても怒りを燃やせ、終わりゆく日に。怒れ、怒れ、消えゆく光に。』その映画では滅びゆく人類と地球、それに立ち向かい人類を救うために宇宙に旅立つ主人公のストーリーが描かれていますが、この一節は映画館でこの映画を観たときからずっと私の心の中にあります。 夜明け前が一番暗い、その言葉と夜明けを信じて」。きっと誰もが、想像もしていなかった暗い未来。展示を観終わったあと闇の先にある「夜明け」を信じて、NANZUKAをあとにしたい。
■画像クレジット
01.佃弘樹 Hiroki Tsukuda New Family 2022 ©Hiroki Tsukuda Courtesy of Nanzuka
02.佃弘樹 Hiroki Tsukuda Swimming Pools (Drank) 2022 ©Hiroki Tsukuda Courtesy of Nanzuka
03.佃弘樹 Hiroki Tsukuda Sing a insane song 2022 ©Hiroki Tsukuda Courtesy of Nanzuka
04.佃弘樹 Hiroki Tsukuda 06.Boy Doom ©Hiroki Tsukuda Courtesy of Nanzuka
05.佃弘樹 Hiroki Tsukuda 02.Azmo-DAMN 2022 ©Hiroki Tsukuda Courtesy of Nanzuka
07/08.Installation View:Hiroki Tsukuda, The Darkest Hour, NANZUKA UNDERGROUND, Tokyo, 2022 ©Hiroki Tsukuda Courtesy of NANZUKA
■概要
佃弘樹「The Darkest Hour」
期間:2022年6月18日(土)~7月17日(日)
営業時間:11:00-19:00
定休日:月曜、祝日
場所:NANZUKA UNDERGROUND
※お出かけの際はマスク着用の上、こまめな手洗い・手指消毒を行い、混雑する時間帯、日程を避けるなどコロナウィルス感染症対策を十分に行いましょう。
>>EDITOR’S VOICE
NANZUKA UNDERGROUNDから歩いて約5分の場所に、ギャラリー・カフェ・セレクトショップが一体化した現代アートギャラリー「SOMSOC Gallery」がオープン。現在は、第一弾企画展「暴走BOUSOU」が、2022年7月17日(日)まで開催中なので、アート好きの方はお見逃しなく!
※敬称略
Text:miwo tsuji
INFORMATION
佃弘樹の新作個展「The Darkest Hour」がNANZUKA UNDERGROUNDで開催中
- 住所
- 東京都渋谷区神宮前3-30-10
- 電話
- 03-5422-3877
- 営業時間
- 11:00-19:00
- 定休日
- 月曜、祝日
- 開催期間
- 2022年6月18日(土)~7月17日(日)