
青山ブックセンター本店・文芸書担当/青木麻衣さんが選んだ1冊
秋の夜長に読書のススメ。表参道・原宿エリアのカフェ、レストラン、セレクトショップ、お花屋さん、街の書店。オモハラエリアで働く人たちにおすすめの1冊を聞きました。読書の秋企画【私の1冊】では愛読書とともに、個性溢れるお店と人の魅力にフォーカスします。
今回おすすめしてくれたのは青山ブックセンター本店・文芸書担当の青木麻衣さん
青木麻衣(あおき まい)/1993年生まれ。2016年に青山ブックセンター六本木店に入社後、2018年に青山ブックセンター本店に異動となる。文芸書やイベント関連を担当している。今回紹介してくれたエッセイの著者・植本一子さんと交流があり、本編に友人として自身が登場していることをこっそり教えてくれた。
青木さんおすすめの1冊は?
『ある日突然、目が覚めて』/植本一子
「写真家・エッセイストであり、ラッパーで有名な故・ECDさんの奥さんとしても知られる植本一子さんの日記本です。植本さんは普段から定期的に日記を書いている人ですが、いつも裏表なく、ありのままを書いていて凄いなと思います。
書店員の仕事は売り場作りやレジだけでなく、発売前の本や原稿を読んで書評を書いたりすることもあるんです。“書かなければいけない”、“読まなければいけない”、けど何も進まない。そんな時に読むと物事が不思議と捗る本ですね。
作者の植本さんとはプライベートで交流がありまして、原稿段階で一部読ませていただいたことがあります。1日分だけですが人の日記を読むと、「私その時間、何してたっけ?」と記憶を照らし合わせて振り返ることができて面白いです。
この本のイラストを担当した堀道広さんも好きな漫画家さんで、独特なタッチの絵が印象的です。手書きのフォントや天気マークにも注目してください。」
■最新の青山ブックセンター本店情報
文芸書担当として働く青山さんにせっかくなのでもう一冊、ジャンル問わずおすすめの新刊を紹介してもらった。「表参道・原宿エリアからさらにスケールを拡大して、“東京”を紐解く『東京の生活史』(岸政彦 編/筑摩書房: 4,620円)はいかがでしょう?社会学者の岸政彦さんが行った、壮大なプロジェクトを一冊にまとめたものです。150人の聞き手を公募し、各1人づつ語り手を自ら選んで話を聞く、1200ページ以上、150万字に渡るインタビュー集になっています。有名無名を問わない聞き手と語り手の言葉によって紡がれた、東京生活者の標本です。」
青山ブックセンター本店
青山学院大学の向かい、国際連合大学近くにある表参道・原宿エリア最大規模の書店。約10万冊にものぼる書籍が販売されている。グローバルかつクリエイティブな業種が多く集まる場所柄を反映し、海外のファッション誌やアート誌といった書籍も多く陳列されている。都内の大型書店では珍しくワンフロアでアップダウンがなく、店内が巡りやすい作りになっているのも特徴。リラックスしながら本が読めるテラス席や、お店の奥にはイベントスペースも備えており、書籍に関連する作家を招き、トークショーなどのイベントが行われる。
Text:Tomohisa Mochizuki