「くず餅=発酵食品」って知ってた?
江戸時代から続くくず餅の老舗・船橋屋の新業態「BE:SIDE」が2021年3月19日(金)、表参道に上陸した。船橋屋はこれまでもカフェを展開してきたが、今度の店舗は少し様子が違う…? SNSでも話題のお店へさっそく行ってみた。
新店舗が位置するのは、まいせん通りのガレット専門店「ブレッツカフェ クレープリー 表参道店」から路地に入り、まっすぐ2分ほど歩いたところ。閑静な住宅街の一角に突然、印象的な木格子が現れる。
船橋屋が創業したのは江戸後期の文化2年(1805)。藤の名所として知られる亀戸天神にて、湯で練った小麦デンプンをせいろで蒸した餅を売ったことが始まりだった(これが後に「くず餅」と呼ばれる)。新店舗の木格子はそのルーツに敬意を表し、藤棚をイメージしているという。
店内はさほど広くないが、1席1席がゆったり配置されていて居心地がいい。
船橋屋のくず餅は手土産の定番としても長年愛されており、根強いファンが多いことで知られている。その進化系として彗星のごとく登場しSNSを中心に話題となっているのが、表参道店限定の「みずくずもち」¥1,250(税込、ドリンク付)だ。
くず餅をさらに瑞々しく、ぷるぷるの食感に仕上げた「みずくずもち」。その賞味期限はわずか20分…!
できたての「みずくずもち」はある程度の弾力はあるものの、水分を多く含むため時間が経つとすぐに溶け出してしまうのだとか。
少しお皿を揺らすだけでもわかるぷるぷる感、表面のつやつや、はらりと落ちるきな粉…。とにかく写真&動画映えするのでいろいろな角度から写真を撮りたくなるが、夢中になって食べ頃を逃さないように注意してほしい。
ところで、くず餅が“発酵食品”ということをご存知だろうか? その主な原料は乳酸発酵させた小麦デンプン(ちなみに関西の「くず餅」は葛粉が原料)。船橋屋では小麦デンプンを1年3ヶ月かけてじっくりと熟成させており、独特の柔らかさ、しなやかさを生み出している。表参道にオープンしたお店は、船橋屋が発酵・乳酸菌の魅力をさらに多くの人へ広めるための拠点なのだ。
メニューは「みずくずもち」のほか、くず餅由来の乳酸菌を使ったスムージー(テイクアウト可)などもあるので、そちらも試してみてほしい。
天気のいい日はテラス席も気持ちよさそうだ。
近年の発酵ブームにより、江戸時代から200年以上愛されてきたくず餅は今、“美味しくて健康的”という観点から改めて注目されている。最先端のグルメが集まる表参道から、伝統と新しい感覚を掛け合わせて“発酵”の魅力を発信する船橋屋は、スイーツ界にどんな影響を与えるのだろうか。今後が楽しみだ。
■概要
BE:SIDE
オープン日:2021年3月19日(金)
住所:東京都渋谷区神宮前3-14-6
電話番号:03-6432-9323
営業時間:11:00〜18:00(LO17:00)
Text:Natsuno Aizawa