美容師とお客さんを繋ぎたい
彼は福島の高校生時代、同じバスケ部に所属していた憧れの先輩から影響を受けて、美容師を志した。仙台の専門学校卒業後に上京するが、もし今の仕事に就いていなければ、当時のバイト先・マクドナルドに就職する気もあったという。華の東京で勤務したのは表参道にも店舗を持つDaB。これがオモハラと関わるきっかけだった。
「専門学校卒業の2009年から32歳まで約12年以上勤めました。独立意識はなく、目の前のことに一生懸命でしたね。会社のなかにいると技術者としてテクニックを磨くことに時間を割けるし、ちょうどSNS黎明期だったのもあり、発信も楽しんでいました。それで当時は満足だったんです」
SNSのなかでも視覚的なInstagramは現在、美容師にとっての必需品だ。しかし当時はファッションアイコン的だったり、デザインを紹介するような投稿が多く、齋藤はテクニックを発信することで差別化を図ったそう。しかし彼は、結果から言えば、一人の技術者に留まることはなかった。
「だんだんと『美容師とお客さまを繋ぐ』という役目をしたいというビジョンが生まれてきたんですよ。だけど美容師として勤務しながらだと難しくて。そういった理由もあり、2021年に仙台時代の友人・佐藤真那人(さとう まなと)と共同代表としてヘアサロン・punelを2021年にオープンしました」
12年美容師として勤めた齋藤は心機一転、今度は経営者の一人として、ヘアサロンが群雄割拠する原宿の地に立つことになった。営業にはpunel共同代表の佐藤やSOLの店舗代表・片寄 光(かたよせ ひかる)が表に出るスタイルで、齋藤が運営を行う。さらに自身が店に立つ時は、彼が長年の研究を経て得たブリーチ&カラー技術をスタッフたちに伝授している。モットーは可愛いヘアスタイルよりも、そのベースになる部分を教えることだ。
「最近は暗めの色にする子が多いので『ハイトーンにしてほしいな』と思いながら見ています(笑)。このお店もハイトーンをコンセプトに据え、punelの姉妹店としてオープンしたんです。店を原宿に決めたのは、今も昔もヘアサロンといえば、このエリアが花形。店舗の数自体もいまだに増えているのには理由があると思います。そんな中でpunelもSOLも、働く美容師とお客さまの層がハマるというのが一つ。
あとは正直、自分が慣れ親しんだ場所というのもありますね。今ではいろいろな場所に出店していますが、駆け出しの若い頃からこの辺は歩いていた場所。最初は懐かしい気持ちもありました。」
