「liminal space」をアートで表現
神宮前のMAHO KUBOTA GALLERYにて、菅雄嗣の個展「liminal」を、5月26日(金)〜6月24日(土)の期間で開催する。
菅雄嗣は、1988年長崎県生まれのアーティスト。モダニズム建築を想起させるような静謐でソリッドな構造を絵画に取り込み、空間主義的な実験を繰り広げている。絵画の全面に鏡面を施し、そこに均一に絵具を載せたあと、絵具の一部を削り取って対象を構成していくネガポジ的な表現も印象的だ。
タイトルの「liminal」は「境界」や「域値」を示す言葉だが、コロナ渦において「liminal space」というミームが派生した。これは、本来であれば大勢の人が行き交う空港や駅に人が不在の状態、またはかつて人の営みがあったであろう建築物が捨て去られ廃墟となった状況、確かに存在しているものの実際にアクセスすることは難しい地下施設などを指す言葉である。
かねてより人は不在の空間や闇、廃墟に美を見出してきたが、それを補完する形で生まれた新しいミームに魅了された菅は、不確かで非現実的な光景をテーマに本展の新作に取り組んだ。本展では、菅の代表的な手法のペインティングがある一方で、新たな試みも見られる。コンピュータ上で仮想空間を作り、実際には存在し得ない世界を描く挑戦にも注目だ。
パンデミックが落ち着き、2020年以前の光景を取り戻しつつある表参道・原宿。菅の描く「リミナルスペース」に不穏な美しさと魅力を感じつつ、作品を見た後で、多くの人々が行き交う街の姿に安堵するかもしれない。
■キャプション
画像1:菅雄嗣,Imitation room -paris texas- #1,2023,65.7x116.7 cm
木製パネルにウレタン塗装、油絵具
画像2:菅雄嗣,Imitation room -paris texas- #2,2023,65.7x116.7 cm
木製パネルにウレタン塗装、油絵具
画像3:菅雄嗣,Cherry #1,2023,91x 65.5 cm
木製パネルにウレタン塗装、油絵具
■概要
菅雄嗣 個展「liminal」
開催期間:5月26日(金)〜6月24日(土)
営業時間:12:00〜19:00
開催場所:MAHO KUBOTA GALLERY
住所:東京都渋谷区神宮前2-4-7 1F
電話番号:03-6434-7716
>>EDITOR’S VOICE
MAHO KUBOTA GALLERYから4分ほど歩いた場所にあるワタリウム美術館では「プレイプレイアート展」を開催中。全長6mの天使像や、11の穴から水を撒く人物像など、約150点の個性的な作品が展示されています。
Text:Arisa Watanabe
INFORMATION
神宮前のMAHO KUBOTA GALLERYで菅雄嗣の個展を開催
- 住所
- 東京都渋谷区神宮前2-4-7 1F
- 電話
- 03-6434-7716
- 営業時間
- 12:00〜19:00
- 定休日
- 日曜・月曜・祝日