ストリートアートと都市の共存、その実践
フランス人アーティストのジョルダン・サジェ(Jordane Saget)による個展「センヲエガク」が、南青山のアニエスベー ギャラリー ブティックにて開催。2023年5月10日(水)〜5月28日(日)まで。
定期的にアーティストを日本に招待し、展示やパフォーマンスの機会を提供する取り組みを行っているアニエスベー。ジョルダン・サジェは、2020年の春夏コレクションでアニエスベーとコラボレーションしており、来日は今回が初めてとなる。本展は、今回のために制作した直径2m以上のキャンバス作品2点と、過去のアーカイブ写真および映像作品、ライブパフォーマンスで制作する作品群で構成。来日後は、青山、渋谷、豊島、瀬戸田でのパフォーマンスの実施も予定している。
2015年の春、サジェは公道、店舗のファサード、地下鉄の壁面などに、幾重にも交差する3本の線を描き始めた。しかし、都市空間に描かれる多くのストリートアートが、その意図に関心を示されることも、十分な議論がなされることもなく、犯罪行為という理由のもと第三者の介入により削除もしくは撤去される。瞬間を捉えるサジェが描く線は、排除の決定を待つまでもなく、居合わせた人々の記憶と、デジタルコンテンツの記録だけに痕跡を残し消え去った。
サジェが描く建築装飾のアラベスク模様のような謎めいた曲線は、チョークという儚いマチエール(絵や線の質感、調子)が用いられ、描いた者の存在を示す署名もなく突如街角に出現する。公共物を破壊し、誰かを不快にするような行為は望まないと考えるサジェのテンポラリーな現実空間の利用と、SNSという現実空間の外で発信されるイメージの拡散は、ストリートアートが都市と共存するひとつのあり方をも示しているのだ。
街に目を向けるとストリートアートとの距離の近さ、関係性の深さがうかがえる表参道・原宿。その中で儚くも美しいサジェの作品とパフォーマンスを通じ「ストリートアートのあり方」について今一度考えてみたい。
■概要
Jordane Saget「センヲエガク」
開催期間:2023年5月10日(水)〜5月28日(日)
営業時間:12:00-20:00
場所:アニエスベー ギャラリー ブティック
住所:東京都港区南青山5-7-25 ラ・フルール南青山2F
>>EDITOR’S VOICE
アニエスベー ギャラリー ブティックから歩いて約9分ほどの場所にあるGallery COMMONでは、イギリス人アーティスト、マシュー・ストーンの日本初個展が5月13日(土)より開催。AIによる画像処理を組み合わせた絵画シリーズの新作を公開する本展、アート好きならぜひチェックしてみてほしい!
※敬称略
Text:miwo tsuji
INFORMATION
南青山のアニエスベー ギャラリー ブティックでジョルダン・サジェの個展が開催
- 住所
- 東京都港区南青山5-7-25ラ・フルール南青山 2F
- 営業時間
- 12:00-20:00
- 定休日
- 会期中無休
- 開催期間
- 2023年5月10日(水)〜5月28日(日)