生み出される複雑で豊かな空間
大山エンリコイサムの個展「Notes Rings Spirals」が、アニエスベー ギャラリー ブティックにて開催。2023年6月17日(土)〜7月30日(日)まで。開催前夜の2023年6月16日(金) 18:00-21:00には、レセプションパーティーを開催する。
大山エンリコイサムは代表的なモティーフ「クイックターン・ストラクチャー(QTS)」(ライティングから文字としての意味情報を無くして、ストロークのみを抽出・反復し、ダイナミズムを最大化させた抽象的なモティーフ)を配したメディア横断的な作品で知られる一方、ストリートアートに高度な表現性を見出し、それを対象に著書の出版や数多くの媒体への寄稿を続けている美術家。
日本の美術では⻑らく批評の対象とならなかったこのジャンルの軌跡を丁寧にひもとき、貴重なアーカイブを積み重ねてきた大山が監修をつとめた『美術手帖』の特集「SIGNALS! 共振するグラフィティの想像力」(美術出版社、2017年6月号)では、アニエスベーとフューチュラ2000の関係をフューチュラ2000本人への取材により活字化している。
ストリート文化を深く理解している大山が本展のために制作した34点の作品には、アニエスベーが過去に制作したコンセプトシートが使用されているが、それは単にブランドの痕跡を作品に残すということではないという。シートに印刷されていたオリジナルのイメージや、シート裏に存在する別のイメージといった目に見えない構成要素の積層が時間の厚みを想像させ、またそこにQTSの造形が重ねられること、そして大山が本展に特有の新しいモティーフとして見出したスパイラルリングがそのかたわらに設置されることで、いっそう複雑でゆたかな空間が生み出されている。
1984年にパリに開廊したアニエスベーのギャラリー、ギャラリー デュ ジュールは、オープン当初から、ストリートを活動の場とする多くのアーティストたちを招き入れてきた。本展では、5月に開催されたフランス人アーティスト、ジョルダン・サジェの個展に続き、ストリートアート界で活躍する美術家、大山エンリコイサムがアニエスベー ギャラリー ブティックに登場する本展。また、開催に先駆け、アニエスべー渋谷店ファサードにも大山のクイックターン・ストラクチャーが6月8日(木)より出現しているので、そちらもお見逃しなく。
■画像クレジット
1.大山エンリコイサム《FFIGURATI #516》2023年, Artwork ©Enrico Isamu Oyama Studio
2.大山エンリコイサム《FFIGURATI #511》2023年, Artwork ©Enrico Isamu Oyama Studio
3.大山エンリコイサム《FFIGURATI #501》2023年, Artwork ©Enrico Isamu Oyama Studio
4.大山エンリコイサム《FFIGURATI #512》2023年, Artwork ©Enrico Isamu Oyama Studio
5.Enrico Isamu Oyama in his Tokyo studio, 2022 Photo ©Go Itami
■概要
大山エンリコイサム「Notes Rings Spirals」
開催期間:2023年6月17日(土)〜7月30日(日)
営業時間:12:00-20:00
場所:アニエスベー ギャラリー ブティック
住所:東京都港区南青山5-7-25 ラ・フルール南青山2F
制作協力:小池俊起 / 東京平版株式会社
協力:Takuro Someya Contemporary Art
広報協力:YN Associates
会場設営:糟谷健三
レセプション:2023年6月16日(金) 18:00-21:00
>>EDITOR’S VOICE
アニエスベー ギャラリー ブティックから歩いて約4分の場所にあるプラダ 青山店ではビデオアートの先駆者、ダラ・バーンバウム(Dara Birnbaum)の個展「DARA BIRNBAUM」が開催中。近年発展し続けるメディアアートの基礎を作り上げたアーティストの1人であるダラ・バーンバウムの世界観を味わって。
※敬称略
Text:miwo tsuji
INFORMATION
大山エンリコイサムの個展が南青山のアニエスベー ギャラリー ブティックで開催
- 住所
- 東京都港区南青山5-7-25ラ・フルール南青山 2F
- 営業時間
- 12:00-20:00
- 定休日
- 会期中無休
- 開催期間
- 2023年6月17日(土)〜7月30日(日)
