『切る』ことで描く『殻』
MAHO KUBOTA GALLERYで2月10日(金)から中国の気鋭の若手ペインター、冷广敏(レン・ガンミン)の個展を開催中。MAHO KUBOTA GALLERYでは5年ぶり、2回目の個展となる。
レン・ガンミンは1986年、山東省青州市生まれのアーティスト。現在北京を拠点に制作活動を続けている。レン・ガンミンの世代は中国では「ポスト80’s」と呼ばれ、伝統的な絵画の手法にとらわれない自由闊達な表現とパーソナルな視点の示唆が特徴となっている。レン・ガンミンも例にもれず、新しい流れを予感させるパワフルな作品を制作し、中国だけでなく広くアートシーンで注目されている存在だ。
アーティストキャリアのごく初期からレン・ガンミンは『切る』という行為を絵画のテーマとして掲げている。本展ではさらなる進化を遂げた新作絵画を中心に11点の作品が展示される。展覧会タイトルは「壳, 仅如蝉翼一般」、日本語に訳すると「殻、蝉の羽のごとく」という意味。
レン・ガンミン本人は「本展は、表現のあり方、『殻』を描いたもの」であるとしている。『殻』とは、単なるモノの外殻を超え、新しい価値と結び付けられるアーティスト自身の表現の実験場を指していると考えられる。
一見ごくシンプルな印象を与えるレン・ガンミンのペインティングは、実は複雑な成り立ちをしているのが特徴。麻のキャンバスをベースに絵具や紙を重ね、マスキングテープでシャープな輪郭線を描いたかと思うと、その輪郭を微細に剥がし、ナイフで削り取り、一方でエアブラシを使いボリュームのある曲面を描いてゆく。絵画的レイヤーが一つの画面の中で複眼的に関係を結び、作品に独特で立体的な深みを生み出すのだ。
クールな計画性のもとに、対象への思索に満ちた探求と絵画の可能性を切り開き続ける若手ペインター、レン・ガンミン。さまざまなレイヤーによって構成される原宿の街で、複雑に入り組んだレイヤーから成り立つその作品を目撃したい。
■概要
冷广敏(レン・ガンミン)「壳, 仅如蝉翼一般(殻、蝉の羽のごとく)」
会期 2023年2月10日(金) - 3月18日(土)
会場:MAHO KUBOTA GALLERY
住所:東京都渋谷区神宮前2-4-7 1F
電話:03-6434-7716
開廊時間:12:00〜19:00
休廊日:会期中の日・月および祝日は休廊
※お出かけの際はマスク着用の上、こまめな手洗い・手指消毒を行い、混雑する時間帯、日程を避けるなどコロナウィルス感染症対策を十分に行いましょう。
>>EDITOR'S VOICE
MAHO KUBOTA GALLERYから徒歩5分。原宿通り方面に下ったNANZUKA UNDERGROUNDではポストグラフィティ世代の旗手、トッド・ジェームス(Todd James)の個展が開催中。80's NYアートのDNAを継ぐトッド・ジェームスと中国の「ポスト80's」世代、レン・ガンミン。世代も国も違う両者のコントラストを楽しむと新しい視点が生まれるかもしれない。
※敬称略
Text:Tomohisa Mochizuki
INFORMATION
神宮前・MAHO KUBOTA GALLERYで中国の気鋭ペインター冷广敏(レン・ガンミン)の個展を開催中
- 住所
- 東京都渋谷区神宮前2-4-7 1F
- 電話
- 03-6434-7716
- 営業時間
- 12:00〜19:00
- 定休日
- 会期中の日・月および祝日
