ナンセンスで、かつ魅力的な“まわるワニ”たち
栃木県を拠点に活動するタムラサトルの個展「ワニがまわる理由は、聞かないでほしい」が、MAKI Galleryで開催中。2022年8月27日(土)〜9月24日(土)まで。
MAKI Gallery(東京・表参道)とTEZUKAYAMA GALLERY(大阪・南堀江)の2会場にて共同開催する本展では、今年6月に国立新美術館(東京・六本木)で好評を博した個展に続き、タムラが30年近くにわたり制作を続けてきた代表作「まわるワニ」シリーズにフォーカス。2会場で合計1,000匹以上のワニが回転し、彩りと動きの爆発が、観る者を非現実的なダイナミズムで包み込む圧巻の展示となっている。
タムラのキネティックな彫刻は、電気や工業素材を利用しながらも、全く非生産的であることが特徴の一つ。彼の芸術実践に通底するアイロニックな無用さには、生産性や効率に固執する現代社会へのさりげない“皮肉”が含まれている。実際、タムラの作品は明確な芸術的目的すら提示しておらず、芸術の役割や意味に対する鑑賞者の固定概念を覆す。本展のタイトル通り、タムラは作品の意図をはっきり定義することを拒んでおり、鑑賞者には、直感的に作品に触れ、自身の素直なリアクションに意識を向けることを促しているのだという。
MAKI Galleryの空間いっぱいに広がる“タムラの不思議な世界”で、自然と機械がぶつかり合う、ナンセンスで、かつ魅力的な世界観をぜひ体感してみて。
日々、表参道・原宿エリアはさまざまなアート展が開催され、鑑賞者に作品を通して意思を伝える場所と言えるかもしれない。しかし、タムラの作品は明確にそれを意図せず、鑑賞者の率直なリアクションを重要視している。回るワニを見てあなたは何を思うだろう。シンプルにこれだけのワニを原宿に集めた展示、見応えがありそうだ。
■画像クレジット
Installation view, artwork: Tamura Satoru
■概要
ワニがまわる理由は、聞かないでほしい
開催日:2022年8月27日(土)〜9月24日(土)
時間:11:30-19:00
定休日:日曜・月曜
場所:MAKI Gallery
※お出かけの際はマスク着用の上、こまめな手洗い・手指消毒を行い、混雑する時間帯、日程を避けるなどコロナウィルス感染症対策を十分に行いましょう。
>>EDITOR’S VOICE
MAKI Galleryから歩いて約7分の場所にあるYOD TOKYOでは、イラストレーター・Himeの個展『snacc』が9月19日(月・祝)まで開催中。アパレルブランドやクラブイベントのカメラマンといったさまざまな経歴を持つHimeだからこそ描ける描ける『snacc』な女性像を堪能してみては。
※敬称略
Text:miwo tsuji
INFORMATION
タムラサトルの個展「ワニがまわる理由(ワケ)は、聞かないでほしい」がMAKI Galleryで開催中
- 住所
- 東京都渋谷区神宮前4-11-11
- 電話
- 03-6434-7705
- 営業時間
- 11:30-19:00
- 定休日
- 日曜・月曜
- 開催期間
- 2022年8月27日(土)〜9月24日(土)