WWF(世界自然保護基金)が願う、未来も美味しい水産物を食べ続けられる世界
表参道のレストランでいつも美味しく食べているお魚料理。でも、我々はその食材を10年後も食べられる? 編集部員が今回訪れたのは「サステナブル・シーフード展」。日頃から当然のように口にしている水産物のことを知り、考える機会が提供されている。
会場は世界中から様々な商品を輸入する伊藤忠商事がSDGsの発信拠点として開設した「ITOCHU SDGs STUDIO」(外苑前)内の展示スペース。この場所でWWF(世界自然保護基金)が、世界海洋デー(6/8)も含まれる6/1(火)〜7/11(日)に「サステナブル・シーフード展」を開催している。
本展のメインビジュアル。添えられた「想像しよう。その魚が、どこから来たのか。」というメッセージにハッとさせられる。
内部には多数のタペストリーが設置されており、海の環境や魚を守るために、消費者である我々にできることが、様々な角度で分かりやすく解説されている。
特に驚かされたのは、水産物の「サステナビリティの5段階評価」が信号マークで表現されたこちらのタペストリー。私たちが日々食べているマグロ、ウナギなどが5段階評価で最も危機的であることは、日本人にとっても「海のサステナビリティ」が身近なテーマなのだと気付かせてくれる。
では、我々が日々の生活でできることとは? そのひとつがコンビニ、スーパー、飲食店などでお金を出して食べるシーフードを「選ぶ」こと。たとえば、持続可能な漁業が行われている天然水産物や、責任ある育て方をされた養殖水産物には、それぞれ認証ラベルが存在する。
こちらに展示されているのが、認証ラベルがついた商品の一例。普段は商品の「値段」や「賞味期限」に目がいくため意識しづらいが、一度知れば、注目したくなる。
あのファストフードブランドのハンバーガーにも認証ラベルが。サステナビリティを意識した企業活動はもうグローバルスタンダードなのだ。
さらに進むと、世界の海の現状や漁業関係者たちの取り組みなどが紹介されるムービーも。美しい映像だからこそ、その自然環境を破壊している人間の責任と、意識を変える必要性が強く感じられた。
会場内では、サステナビリティを意識した形で海の幸を提供する飲食店も紹介されている(一部店舗の商品サンプルもあり、オンラインで注文可能)。決してシーフードを食べることが悪なのではない。ひとつしかない地球の中で、持続可能な形で、人間と海の生き物が共存することが大切なのだ。
意識すれば、表参道・原宿に存在するサステナビリティを意識した飲食店も多く見つかるだろう。気負いすぎることなく、この街のグルメを思いきり楽しみながら、未来で次の世代が今と同じように美味しいシーフードを食べ続けられるような小さな選択を、皆でしていけたら。そう感じる展示だった。
■概要
サステナブル・シーフード展
展示監修:WWFジャパン
開催期間:2021年6月1日(火)〜7月11日(日)
営業時間:11:00~18:00
開催場所:ITOCHU SDGs STUDIO
住所:東京都港区北青山2-3-1 Itochu Garden B1F
Text:Takeshi Koh
Photo:Eri Miura