2010年代。「#FR2」を渋谷でなく原宿に出したワケ
「Smoking kills」シリーズは世界中の若者に愛されている『#FR2』の代名詞的存在
時を経て2016年、彼が新たに立ち上げたのは、Instagramを中心に展開するアパレルブランド「#FR2」。ブランドロゴは「俺がうさぎ年だし、うさぎみたいにセックスばっかりしているから」ということで交尾中のうさぎ。海外のタバコに掲載されている警告表示「Smoking Kills」やストレートなメッセージ「ただヤりたいだけ」などがプリントされたTシャツがSNSで話題となり、瞬く間に世界的人気ブランドに。そんな中、満を持してリアル店舗を出店するとなったとき、彼が選んだ地は、原宿であった。
#FR2の旗艦店「#FR2 HARAJUKU」
「以前と同じように渋谷と原宿の両方を見ましたが、今回は原宿を選びました。#FR2は日本人だけでなく、世界の人たちをターゲットにしたブランドなので、まずは街にいる外国人の様子の違いが決め手でしたね。訪日外国人たちを見ていて、渋谷は写真を撮る場所、原宿は物を買う場所=お金を使ってくれる場所になっていると感じたんです。それから、日本人にとっても今の原宿は面白いと思いました。若い人たちが普段SNSの中だけで表現している独創性を発揮して許される街だと感じますね。解放された個性をちゃんと受け入れるムードがあるというか。チンピラみたいなお兄ちゃんがミッキーのカチューシャつけてても認められるのは、原宿かディズニーランドだけですよ」
SNSの世界で人気を博す商品たちは、原宿の地でもヒット。だが、予想を超えた部分もあったよう。そのひとつが、リアル店舗で若い女性たちが性的なメッセージの入ったアイテムを平然と買っていくこと。
「えっち」Tシャツ。着用してInstagramに投稿する若い女性が続出
「特に『えっち』Tシャツが若い女の子にヒットしたのは予想外でしたね。あれはマジでギャグで作ったから(笑)。表参道でもよく見かけるけど、インスタの世の中になってから猫も杓子も同じブランドの同じアイテムを着るようになってて、そういうの本当に気持ち悪いと思ってるんだよね。ブランド名は出さないけど、それをコケにするつもりで商品を作ったの。だから売れると思ってなかったけど…みんな共感してくれたってことかな(笑)」
人々の反応を知るために、店舗には頻繁に通うという石川さん。リアル店舗を出店したことで発見できていることは多いと話す。
#FR2のInstagramアカウントはその世界観がグローバルで人気を博し、現在フォロワーは約13万人
「こないだも店に来た18歳の女の子と話してたら、『セール品なんて買わない』って言う。『メルカリで二束三文にしかならないから』だって。最初からメルカリに出す前提で、いくらで売れるかを想定して服を買うの。『50%で売れるなら50%オフで買うのと一緒。セールになるような売れ残りは、後からメルカリに出しても売れないから買わない』と。古着屋とかヤフオクとか世代のおじさんには分からないけど、メルカリは若い子にとって生活の一部になってて、消費の仕方も変わってる。そういう最先端の感覚がいち早く分かるのは、この街でリアル店舗を出したことの大きなメリットだと思ってます」
#FR2はこれまでに一度もセールを行ったことがないが、商品は完売続出。人気シリーズはネット上で定価の3倍で取引されていることもあるという。原宿での様々な発見により、#FR2は益々加速している。
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