原宿にはクリエーターやインディペンデントが良く似合う
当時の自分は、表参道から246を越えるエリアにはほぼ行ったことがなかった。ブランドロゴ入りのスタジャンやセーターを着た若者が入ってはいけないエリアだと思っていた。思い思いの格好をした若者が自由に遊んでいる原宿と比べて人もまばらで、歩いている人は大人ばかりで、店もそれほどフレンドリーではなくて、原宿との間に高い壁があった。
自分の中の「原宿」は、原宿駅から下って、明治通りを渡り、「レオン」があった先の交番前までで、そこから246までが「表参道」、246を越えると「青山」になる。「レオン」とは、同潤会アパートがあった頃、原宿セントラルアパートの1階にあった伝説の喫茶店である。原宿セントラルアパートに事務所を構えていた糸井重里さんやファッションカメラマン、グラフィックデザイナー、アパート内でせっせと洋服を作っていたファッションブランドのオーナーやデザイナー、広告代理店の社長などが毎朝レオンでコーヒーを飲んで、仕事や街について語り合っていた。
原宿セントラルアパートの1階にあり、時代を引っ張るクリエイターたちが集まっていた伝説の喫茶店「レオン」
出典:TABI LABO
90年代後半からの“裏原”ブームが生まれた際には、表参道や竹下通りの家賃を払えない若いデザイナーやクリエーターが、原宿の裏通りに店を構えて、インディペンデントでシンボリックなTシャツを売り、それを高校生や大学生が徹夜して行列して買っていた。インディペンデントでシンボリックなTシャツをみんながこぞって着るという矛盾もあったけれど、とにかく売れた。その頃の高校生が今は30代後半になって、ビジネスの最前線でスーツを着て働いている。伊勢丹新宿店メンズ館で買い物をしている人を見ていると感じるが、今、彼らのスーツの着こなしに個性があるのも“裏原”のおかげかもしれない。
「BAPE® STORE 原宿」。裏原ブームを象徴するブランドであり、今も根強いファンを持つ