ぐっすりと眠るオモハラ
2016年6月9日AM1:30 表参道駅の終電から1時間以上が過ぎた。
天気は曇り。昼間との温度差によりほんのりと靄がかかる。東京に初夏がやってきたことを感じる湿度の高い夜だ。
昼間の華やかさを日々感じている人は多くとも、深夜のオモハラの“顔”を知る人はあまりいないのではないだろうか。そんな考えから、平日の深夜にオモハラエリアをじっくり散策してみる事にした。
さて、どこに行こうか…
時計は既にAM2:00を回ろうとしている。
辺りを見回すと、シーンと静まり返った街だけがこちらを見返していた。この時間の表参道の歩道には、全くと言っていいほど人がいない。いつもの青々しい欅並木の葉っぱも、今は街灯に照らし出され、昼間のような爽やかさはなく、表参道の夜の闇の静けさをさらに演出しているようだった。
欅並木の横に立ち並ぶショップを見てみる。暗闇とのコントラストによって、昼間以上に映えてみえるショーウィンドウの中の商品たち。誰にも邪魔されない、夜中のウィンドウショッピング、というのもいいかもしれない。
夜の表参道と向き合ってみて、はっきりと気がついたこと。それは、とても気分がいい、ということだ。
誰もいない表参道をゆっくりと歩いてみる。普段であれば少しでも立ち止まったものなら、怪訝そうな顔をされたり、わざとぶつかってくる人だっていたりするところを、わざと時間をかけて歩く。
横目に見る道路では、時折信号でせき止められていた車が何台か通るだけ。静まり返ったこの表参道からは、この街の「素顏」の部分、謂わばスッピンの表参道をこっそり見せてもらったような気がした。
さらに足を進め、見えてきたGYREを左に曲がるとキャットストリートだ。
このキャットストリートに入ると、更に静けさは増す。ここでもやはり、街はスッピンで眠っていた。
人の存在やショップの照明が消えていることで、街本来の姿を浮き彫りにしている。人と同様に華やかさこそ失えど、飾らない街そのものと向き合えたという気がした。
もともと流れていた渋谷川を暗渠とし、その上に造られたキャットストリート。視覚からの情報が限られたことで、この下に今も流れる渋谷川という見えない存在を意識してしまう。流れる川を想像したら、冒険にも似た高揚感すら感じ、眠い頭も覚めてめてきた。
続けて、このオモハラエリアで昼間最も人が多いであろう、明治神宮交差点へ向かう。