2025年「秋」の表参道・原宿を撮影したTakashi Minekuraにインタビュー
季節ごとの表参道・原宿の景色を、フォトグラファーが切り取る「SEASONS」。毎シーズン定点のカットと、フォトグラファーそれぞれの視点で映し出された街並みを記録するとともに、その変遷を辿ることができる企画となっている。
フォトグラファーはどのような思いで街にレンズを向け、シャッターを切ったのか。「SEASONS」の舞台裏にフォーカスしながら、撮影を担当してくれたフォトグラファーを紹介したい。
>>全撮影写真は「SEASONS」ページへ

Takashi Minekura(嶺倉 崇)
1976年大阪府出身。大阪のコマーシャルスタジオでカメラマンアシスタント、京都の写真事務所でカメラマンとして勤務後、2011年に独立。コマーシャルを中心に料理、インタビュー、店舗取材など撮影内容は多岐に渡る。ナチュラルかつ、その場所の雰囲気を活かした撮影を得意とする。Takashi Minekura OFFICIAL SITE
■「SEASONS」を撮影してみていかがでしたか?
2020年の夏以来2回目の「SEASONS」ということで、前回は割と、場所を決めて企画に沿うようなスタンスで写真を撮りましたが、前回とは違った街との向き合い方をしたいと思って臨みました。
最初は街に繰り出してみたものの、どうもしっくり来ない。なので、のべ3回ほど撮影に出て、やっと納得がいく写真が撮れましたね。
■掲載写真の中で嶺倉さんが推したい写真を、理由とともに教えてください
歩道橋の写真です。この写真を撮って自分の撮りたいもの、コンセプトが決まりました。秋は自分の中でも好きな季節。感傷的な空気感、街の呼吸、時間のうつろい、そして自分の感情。矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、そこに映らないものを写したかったんです。
この歩道橋の写真は象徴的な1枚で、綺麗な絵葉書的な写真ではなく、日差しに薄めをあけて街を見ているような、自分の感情ともリンクするリアルな光景が撮れた気がします。
Photo by Takashi Minekura
■撮影するのに苦労したカットはありますか?
カットというよりは、“どう撮るか”を決めるのに苦労しました。
何を撮りたいのか?そもそも、自分はなんで写真を撮っているんだろう?そういった原点に立ち返るように自問自答しながら撮影を繰り返しました。答えのない答えを探しに街に出る。そういう機会は自分だけではなかなかないのでありがたかったです。
■嶺倉さんの写真の原点とはなんでしょうか?
僕の原点はアラーキー(荒木 経惟)の写真集「センチメンタルな旅・冬の旅」(1991)なんです。奥様である荒木陽子さんとの新婚旅行から、陽子さんが病気で夭折されるまでを赤裸々な手記とともに写真でリアルに綴っています。そこに映る人や風景に、目に見えている以上の感情まで映し出している気がして、感銘を受けました。
それまで感情を呼び起こすようなものは音楽しか知らなかったんですが、自分で表現することができないのでもどかしい思いをしていました。
写真でもこんな風に人の情を呼び起こすことができるんだ!と、写真を撮り始めたのが原点です。
Photo by Takashi Minekura
■撮影の前後、表参道・原宿の街に対するイメージや感じ方に変化はありましたか?
大阪の出身なんで、表参道・原宿には漠然と憧れがありました。大阪には、表参道・原宿のような街はありませんから。
しかし、この5年で仕事を通じて表参道・原宿に関わる機会が多くなり、ただの憧れの街ではなく、もう一歩踏み込んだ魅力を感じるようになりましたね。
華やかな場所というだけでなく、魅力的なのはこの街を支える、人の熱意や街への愛情、心意気なんだなと。街の感じ方が変わっているから、アプローチの仕方も変わるはず。その答え探しの撮影を今回することができたのは良かったです。
Photo by Takashi Minekura
■ご自身でオモハラエリアでの印象深い思い出などがあればぜひ教えて下さい
2019年の4月30日に、制作会社の方々と「平成最後の表参道・原宿」という企画をやりました。令和に切り替わる最後の日、1時間ごとに周辺に繰り出し、街を撮影する。それを24時間続けるというものです。
令和を迎えた瞬間や、原宿駅のシャッターが閉まる瞬間、明け方の風景などを撮りました。
残念だったのは天気で、雨だったんですよね。晴れていればもう少し、時間の経過も分かるんですがあまり変化がなくて(笑)。なので次の日の夜、20時くらいに切り上げ、「THE GREAT BURGER」を食べに行きました。
結局、日の目は浴びることのなかった企画だったんですが、表参道・原宿の街をいちばん最初にガッツリ撮らせてもらったので経験として思い出に残っています。
Photo by Takashi Minekura
■伝えたいこと、メッセージ、告知など
写真を通じて、誰かの感情や記憶にアクセスし、エモーショナルな感情を呼び起こすことができたら嬉しいですね。街の景色の中に映る、いちフォトグラファーの心境の揺らぎとともに楽しんでいただけたらと思います。
■編集部コメント
「SEASONS」に参加してくれた歴代のフォトグラファーで初めて、二度目の参加をしてくれた嶺倉さん。実はOMOHARAREALで数多くの取材現場をともにしてきたフォトグラファーでもあります。そんな嶺倉さんに写真についての話をあらためて聞いてみたい、という目的もあり2度目の依頼をさせていただきました。今回撮影したのはオモハラの秋。オモハラの街がもっとも色彩を放つ、絶好のシーズンです。撮影いただいた写真は誰かの記憶や視点を覗き込むような、どこか俯瞰した視点が特徴的。秋らしい陽の柔らかさとともに、どこか切なさ、寂しさを感じさせる写真の数々に惹き込まれます。
■編集部お気に入りの1枚
Photo by Takashi Minekura
Takashi Minekuraさんの全撮影写真を見る
SEASONSページでは、フォトグラファーが収めた写真とともに、その時期に開催されていたイベントや展覧会、発売アイテムなど、開催(発売)時期に関連した全てのNEWS記事が見られるようになっています。
「こんなイベントやっていたな」「ここ行った!」など思い出を振り返ることが可能だ。フォトグラファーが撮影した美しい街並みとともに、併せて楽しんでみてください。
>>「SEASONS」をチェック
Photo:Takashi Minekura
Text & Interview:Tomohisa Mochizuki


























