2025年夏の表参道・原宿を撮影したYuta Akahaneにインタビュー
季節ごとの表参道・原宿の景色を、フォトグラファーが切り取る「SEASONS」。毎シーズン定点のカットと、フォトグラファーそれぞれの視点で映し出された街並みを記録するとともに、その変遷を辿ることができる企画となっている。
フォトグラファーはどのような思いで街にレンズを向け、シャッターを切ったのか。「SEASONS」の舞台裏にフォーカスしながら、撮影を担当してくれたフォトグラファーを紹介したい。
>>全撮影写真は「SEASONS」ページへ
Yuta Akahane
1995年長野県出身 2019年〜2021年 都内スタジオに勤務し、2021年〜2022年はカメラマンに師事し経験を積む。その後フリーとして独立。アシスタント業から、プロダクトの撮影、ファッションブランドのルック撮影なども行う。自身でもフィルム写真を用いて作品を制作している。 YUTA AKAHANE OFFISIAL SITE
■「SEASONS」を撮影してみていかがでしたか?
普段、街を撮ることは多いんですが、自分の中で撮影にいく場所はある程度決めているので表参道・原宿を撮ること自体、自分にとっては新鮮な体験でした。
自分の中では表参道・原宿は人が多く、大衆的なイメージを持っていたんです。どちらかと言うと、表参道・原宿とは異なる世界観の街を撮ることが多く、自分の中で撮ることを避けていたのかもしれません。だからこそ、自分でどう撮るか、向き合えたことが面白かったです。
■掲載写真の中でAkahaneさんが推したい写真を、理由とともに教えてください
神宮前交差点の東急プラザ「ハラカド」の写真ですね。鏡張りのビルに全面が映っている写真が、表参道・原宿ならではの夏の風景を収められた気がしています。
僕が、「夏」と聞いて思い浮かべるのは空。だから、街の視点から空を意識的に写真に入れて撮っています。その上で街の持つ独自な雰囲気を撮ることを考えました。
ビルのガラスに全反射する空に、模様のように浮かぶ大きな雲。この街でしか撮れない独自の夏を写せたかなと思っています。デザインも相まって、氷のようなイメージも浮かぶ一方、人工物だからこそ醸し出される、都市独特の“暑さ”も感じさせるところが気に入っています。

Photo by Yuta Akahane©︎
■撮影するのに苦労したカットはありますか?
撮影で苦労したことはなかったんですけど強いて言えば、暑さがキツかったです(笑)。
「空」をひとつのテーマに、夏の表参道・原宿を表現したかったので、天候によって日を分けて撮影に赴きました。
入道雲のような高くて大きな雲が、街から見えそうな天気を狙って街に繰り出しました。
■「SEASONS」の方には掲載されていない2枚の写真もとても素敵でした。掲載枚数とレイアウトの都合で、選ぶのはかなり悩んだのですが、こちらの撮影背景も教えてください。
竹下通りのファサードのユニコーンは、前に来たときと変わっていて、目を引いたので撮りました。竹下通りって他の街に置き換えると、商店街的なポジションですよね。だけど、こんなに大掛かりな装飾だったり、ときには広告として利用されたり、来る人を意識して、柔軟に入り口のビジュアルを変える商店街って、他の街にはないアイデンティティを感じました。

Photo by Yuta Akahane©︎
もう一枚は、街を歩いていて日傘が印象に残ったので撮った1枚です。平日の比較的空いていそうな時間を狙っても、これだけ人が集まる街で、一様にみんな日傘を差していたのに驚きました。それだけ都市が暑くなっているってことかもしれないんですけど、もともと田舎出身の僕には不思議とすら感じるほど、近年の夏を象徴する光景だったので撮影しました。
傘に反射する陽の光、熱を撮りたかったのでかなり寄って撮った写真です。

Photo by Yuta Akahane©︎
■撮影の前後、表参道・原宿の街に対するイメージや感じ方に変化はありましたか?
もともと人がたくさんいて、外国人から若い子まで、多様な人が集まるイメージを持っていました。イメージが変わったというよりも、“なぜ、表参道・原宿が人気の街であるか”が、今回向き合ってみてわかった気がする、というのが率直な感想です。
時代や訪れる人のニーズに合わせて柔軟に変化を続けている街だからこそ、人が集まるんだとあらためて思いましたね。それこそが表参道・原宿らしさなんだと。
一方で竹下通りや表参道もそうなんですが、ちょっと一本裏路地や横道に入ると、全く違う表情を見せてくれて、知らないお店がいくつもある。自分でも寄ってみたくなりましたし、そういうところには観光客にも知られていない、街が好きな人たちが集まっている印象を受けました。
■ご自身でオモハラエリアでの印象深い思い出などがあればぜひ教えて下さい
高校生の頃、地元長野にいるころに先輩の車に乗せてもらって友人と来たのが最初でした。
当時ストリート系の格好をしていたんですけど、「DUPPIES」という好きなブランドの服を、キャットストリートの近くにあった直営店に買いに行ったんです。田舎からオンラインで買っていたんですが、店で買い物するのは感慨深いものがありました。
お店の人もイカツいけど当時はすごくカッコよくて、今考えると当然なんですが、スタッフは全身そのブランドの出立ちで、店の周辺には同じ服装の人たちが今よりもいたので、印象的なワンシーンとして記憶に残っています。

Photo by Yuta Akahane©︎
■伝えたいこと、メッセージ、告知など
表参道・原宿は街そのものが被写体になることを、撮っていて実感するとともに、この街の持つ空気感を大事に収められるかを意識して撮りました。
画角も無限にある中で、そこに身を任せてシャッターを切り「自分が撮ると、この街はこう映るんだ」という発見があったことは企画に参加したことによる収穫ですし、感謝しています。
僕が撮った表参道・原宿の街に写真を通じて、僕が感じた、“新鮮さ”を追体験してもらえたら嬉しいです。そして新しい視点を見つけるきっかけになってくれたらと思います。
■編集部コメント
表参道・原宿の夏。ビルやアスファルトに照りつける太陽と、みずみずしく生い茂った欅並木が生む木陰がコントラストを描き出し、街が熱気と活気を帯びる季節です。そんな街を新鮮かつ、冷静な視点で撮影してくれたYuta Akahaneさん。暑さも相まってふと見上げるのを忘れがちな、街からの「空」がとても美しく、ビルの間から覗く大きな雲からは夏の暑さを感じさせてくれました。全てフィルムで撮影してくれたということで、独特な質感と色味も魅力的ですね。撮影いただきありがとうございました。
■編集部お気に入りの1枚

Photo by Yuta Akahane©︎
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SEASONSページでは、フォトグラファーが収めた写真とともに、その時期に開催されていたイベントや展覧会、発売アイテムなど、開催(発売)時期に関連した全てのNEWS記事が見られるようになっている。
「こんなイベントやっていたな」「ここ行った!」など思い出を振り返ることが可能だ。フォトグラファーが撮影した美しい街並みとともに、併せて楽しんでみてほしい。
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Photo:Yuta Akahane
Text & Interview:Tomohisa Mochizuki





























