
原宿にDEUSが帰ってきた!大人の“好き”が詰まった楽園ベイベー
表参道・原宿という街は、若さとスピード、トレンドの象徴というイメージが先行しがちだけれど、本当はもっと多面的で奥行きがある街だと常々思っている。
特にそれを感じられるのが神宮前2丁目。昔ながらの飲食店から最先端のセレクトショップ、大小さまざまなギャラリー、古着屋にDJバー、とその複雑なレイヤーをギュッと凝縮したような要素が集まっているエリアだ。そんな2丁目にドスンとカルチャーのくさびを打ち込むように、DEUS EX MACHINA(デウス エクス マキナ)の新店舗がオープンした。
【EAT & DRINK】でカフェを、【SHOP GUIDE】ではショップを紹介させてもらったが、記事内で紹介しきれなかった魅力を深堀りする。
■DEUS EX MACHINA HARAJUKUの深掘りポイント
・外観からして圧巻!神宮前2丁目の象徴的な建物
「DIESEL」からつながったカルチャーのバトン
・温故知新の精神が根付く、インテリア・アート・音楽
オンリーワンな世界観を作り上げる要素がもりだくさん
・アパレルだけじゃない、ライフスタイルレーベルの矜持をカフェに見る
ハイクオリティなフードとドリンク、街好きなスタッフ
・DEUSがそこにあるだけで 別格の安心感
風通しの良さと懐の深さ、原宿にはDEUSが必要だ
「DIESEL」からつながったカルチャーのバトン
外観からして圧倒される、東郷神社を過ぎて原宿警察署前の神殿のような建物。ここにはかつてファッションブランド「DIESEL(ディーゼル)」が約20年間入居していた場所だ。
しばらく空いていたのだが、そこにDEUS EX MACHINA(デウス エクス マキナ)※以下:DEUS がスケールアップして帰ってきた。DIESELから時を経てDEUSへ。ファッションだけでなくアートや文化を重んじる両ブランドがバトンを繋ぐことは文脈的にも非常に親和性がある。
かつてキャットストリートの北側、“黒い家”として親しまれてきたガレージ風のショップも好きだったが、新しいDEUSはさらにスケールアップ。西海岸の風が吹く、大人の“好き”が詰め込まれたカルチャーショップが原宿に誕生した。
この原宿店ならではの特徴はやはり、大胆かつダイナミックな空間。カフェとショップを行き来できる2階建ての構造によってショップとシームレスにつながるその導線は、買い物と軽食が楽しめて、“その先”にある余白に思いを巡らせるにはもってこい。
街歩きの途中、または街からどこか別の場所へと足を伸ばすような、立地的にも、街の大きな止まり木としてふさわしい場所と言える。
オンリーワンな世界観を作り上げる要素がもりだくさん
ショップでは原宿限定のアイテムも販売されている。DEUSのグローバルな感性に、原宿の都会的な空気がミックスされたグラフィックやカラーは、どれも原宿限定の特別な一着。
また、アーティストが手がけたホビーアイテムもさりげなく置いてあったりする。例えば、DEUSとの繋がりは意外に感じるかもしれないが、交流があるというミュージシャンのHYDEさんがデザインしたというけん玉や、日本を代表する神社、仏閣や県庁などの襖絵や壁画を手がけ、自らを“画狂人”と名乗る井上文太さんのけん玉を展示。
けん玉自体はアイテムとして販売されているので、自分でカスタムしてみるのも楽しいかもしれない。
また店内の至るところにアートが散りばめられているのも見どころ。小さな額装作品から、カスタムバイクまで。さりげなく配置されたひとつひとつが、大きな空間の中で唯一無二の世界観を際立たせている。
ブランドと親交の深いオーストラリアのアーティスト・ボブ・ムーアとともに、DEUS JAPANのメインカスタムビルダー・添田智之がカスタマイズしたE-BIKEは展示販売されている。ベースは「ARCHON DESIGN TR1」
「TRUCK Furniture」とStephen Kennという、日本とLAのインテリアデザインの重鎮たちによる、以前原宿店に置いていたワンオフカスタムのソファも全てレストア。
カスタムソファはカフェ・ショップの両方にインストールされ、新たな時を刻んでいる。以前の店舗を知っている人は懐かしく感じるのではないだろうか。
ショップにはこれまで行われてきた音楽イベントのポスターを額装してアートボードとして展示。その履歴を見ていると、カルチャーを発信する旗手としての存在感の大きさがうかがえる。
ハイクオリティなフードとドリンク、街好きなスタッフ
かつての原宿店と浅草、これまで行ってきたカフェ運用のノウハウを活かし、オペレーションも全て自社で行う。朝9時からやっていて、アボカドトースト、ズッキーニ入りのバナナブレッドなど朝食にピッタリなメニューをラインナップしているのも嬉しい。
クラッシュアボカドトースト 1,320円 & 抹茶ラテ 770円 ※すべて税込
ランチにはチーズステーキサンドやプルコギサンドが用意され、こちらもおいしそうだった。アサイーボウルもあるのでヘルシーメニューを求める人への対応もバッチリ。
ドリンクメニューにも妥協はない。コーヒーは経堂の「Raw Sugar Roast」のものを使用し、抹茶やほうじ茶は全国有数の抹茶の一大産地である愛知県西尾市の葵製茶のものを使っている。
ツナトースト 1100円 & ほうじ茶ラテ 770円 ※すべて税込
スタッフも原宿店オープン時に新たに募った面々で構成される。中には自身が住む最寄りの店舗でなく、「原宿の店舗で働きたい!」と応募する猛者も。街を好きな人たちが集まっているというのも、この店の存在感とその説得力を際立たせる大切な要素だ。
広々とした空間はカフェ利用だけでなく、今後、イベント利用の可能性も模索していくという。周辺のローカルコミュニティを盛り上げるのに一役買っている存在として、そのノウハウは店舗の音響設備やDJ機材を搭載したワゴンブースなどに集約されているし、この広い空間を利用しない手はないだろう。
おいしいフードに、丁寧に淹れられたコーヒー、こだわり抜かれたインテリアと空間に、音響までこだわり抜かれた店内。空間全体からアパレルブランドに留まらない、ライフスタイルブランドとしての矜持を感じた。
風通しの良さと懐の深さ、原宿にはDEUSが必要だ
コーヒーを片手に、人の流れやプロダクトの佇まいを眺めながら過ごす時間は、ちょっとした特別感を味わえる。そこは“好き”が詰まった大人の楽園。大きな店舗ながら、さまざまな世代がボーダレスにリラックスして過ごせる場所というのは表参道・原宿エリアにおいても稀有な存在と言えるだろう。
DEUSの新店舗は、大人が家族や友人たちとともに自由に、そして自然体で過ごせる場所。ここでふと立ち止まり、思い思いに服を選び、サーフィンをするなら海、バイクに乗るなら遠くの土地を思う。原宿の街角から旅に想いを馳せる、そんなゆったりとした時間が許されるのも原宿の、そしてDEUSの懐の深さを体現しているように思う。
風通しが良く、懐の深い雰囲気の店は近年減少傾向にあるように思えるが、DEUSがここにあることの心理的な安心感は大きい。
ブランド名のDEUS EX MACHINAとは、直訳するとラテン語で「機械仕掛けの神」を指す。演劇や小説などの演出技法として古来より用いられる舞台用語である。収集がつかないほどに物語が複雑に絡み合った結果、突如現れた神的な存在が強引に解決し、ハッピーエンドへと収束させることを意味している。
その名の通り、ここに来れば否応なくハッピーな気分にしてくれる。そんな安心感を携えた場所から、発信されていく刺激的な遊びのエッセンスと、店舗を軸に形成されていくであろう、新たな原宿のコミュニティを注視していきたい。
■DEUS EX MACHINA HARAJUKU
(デウス エクス マキナ 原宿)
住所:東京都渋谷区神宮前2-32−5 Bprスクエア神宮前1, 1F & 2F
電話番号:03-6447-4949
営業時間:
[1F カフェ]9:00〜20:00
[2F アパレル]11:00-20:00
定休日:不定休
URL:Deus Ex Machina Japan Official Site
Instagram:
@deusexmachina.jp
@deuscafe_tokyo
Text:Tomohisa Mochizuki
Photo:OMOHARAREEAL編集部
