アートラベル缶制作ワークショップ&アーティスト・ウォークに参加!
神宮前2丁目の路上アートギャラリー「Jinny Street Gallery」をご存じだろうか?
神宮前2丁目商店街に点在する街頭の下に設置されているガラスケース。そこはミニマルながらも、ひとつひとつにアートが飾れるミニギャラリーとなっている。商店街全体を使って、街歩きとアート鑑賞などを同時に楽しめるように設計されているのが面白いところであり、優れた点。
そんな理由もあり前々から注目していたところに、”神宮前2丁目商店街の路上アートギャラリー「Jinny Street Gallery」がクラフトレモンサワーを販売開始。”というニュースが飛びこんできた。しかも、ローンチ当日のイベントとして、ワークショップとギャラリーウォークが開催されるという。
面白そう!(飲んでみたい!)という気持ちに推されて、休日返上で参加させていただいた。
レモンサワーがアートと人々を繋げる!“神二”のレモンサワーとアートに触れた夜
Photo:Lorenzo Menghi
”町中で人々とアートとの接点を増やしていく”ことをコンセプトに、「Jinny Street Gallery」と神宮前二丁目商和会とのコラボレーションで誕生した「Jinny Lemon Sour」。缶ラベルのアートワークは公募にて決定し、定期的に入れ替わるというユニークな試みも面白い。
まずは、”アートとの出会いを作るドリンク”のキャッチコピーにふさわしい、缶ラベルのドローイングワークショップからイベントはスタート。
ワークショップは、前回と同様、Jinny Street Galleryからほど近いカフェ&バー「ニニニ」にて開催された。こちらのお店は、ギャラリー主宰のヨーロッパ人写真家・ロレンツォ(Lorenzo)さんとトト(Toto)さんの2人が懇意にしている場所だ。
雷雨の中、無事「ニニニ」に到着し、古民家造りの2階スペースへと登っていく。テーブルにはスケッチブックとクレヨンや色鉛筆、マーカーなどの画材が用意されており、工作室のような雰囲気にテンションが上がる。
壁には、今回公募したラベルアートが展示されていたので、開始時間までしばし鑑賞タイム。
そのうちに10名ほどの参加者が続々と集まり、3つのテーブルに分かれて座る。見た感じ、日本人の参加者は私だけ。同じテーブルにいた香港出身の方に話を聞くと、「Meetup」(アメリカ発のコミュニティ交流プラットフォーム。海外の利用者が多い)から申し込んだらしく、外国人が多いのも納得。
今回のワークショップはオリジナルのレモンサワー缶ラベルを描くことが最終ゴール。まだラベルを貼っていないアルミ剥き出しの「Jinny Lemon Sour」が1人1缶配られる。この状態のドリンクってなかなか見ることができないよね。製造者になった気分で新鮮。
イラストレーター兼デザイナーとして東京を拠点に活動しているWenyi Gengさんが講師としてドローイングのアドバイスをしてくれるので、久しぶりに絵を描く私にとっても心強い。
ひとまず、できたてほやほや、肝心のレモンサワーをグラスに注ぎ、皆で乾杯。心待ちにしていたクラフトレモンサワーは、ベースに黒糖焼酎を使用しているので、とてもまろやかでおいしかった。グビグビと味わいながら、ドローイングのインスピレーションを得る。
Photo:Lorenzo Menghi
ワークショップといっても、”今日はこれを描きましょう”といった固定のフォーマットや描き方の細かなレクチャーはない。スケッチブックを広げて、子供のように思うままに描いていく。
さらに、レモンを題材に描かなくてもいいという。それぞれ、今日の気分や純粋に描きたいものをスケッチブックに表現する時間だ。
古民家の屋根に降り注ぐ雨音と鳴り響く雷で、参加者の声も聞こえないほどだったので、自然と雨や雷をイメージしてイラストを描いている人が多い印象。
私も雨に影響されて、雫に見立てた青いレモンを描いてみた。
レモンサワーを飲んだり、用意して頂いたお菓子を食べたり、1階のバーで飲んでいたアーティストの男性も急遽参加したりと、皆、マイペースにアートワークを楽しむ。自分だけの世界に集中して、色を重ねる時間がとても楽しく、心が躍る。
もちろん、描き方が分からない時などは、先生に質問すると丁寧にレクチャーしてくれる。私も、レモンから垂れるジューシーな果汁の描き方を質問した際、輪郭や影、周囲の色の映り込み方など、詳細に説明してもらい、その仕上がりに我ながら感動してしまった。
ワークも残り30分ほどで、ついにラベルシールにイラストを描いていくフェーズに。スケッチブックに描くときは、色鉛筆やクレヨンで気ままに描いていたけれど、ラベルにはマーカーの方が映える。やり直しが効かないので、ちょっと緊張した。
Photo:Lorenzo Menghi
楽しいドローイングタイムもそろそろ終わり。いつまでもこだわって描いていたい気持ちを切り上げて、奥のソファ席に全員が集合。1人1人どんなコンセプトとプロセスでラベルアートを描いたのか紹介する。
オリジナルキャラクターを生み出していたり、抽象画風だったり、タイポグラフィにこだわっていたり・・・個性的なデザインばかりで、参加者の皆さんの豊かな発想に新たな刺激を受ける。
最後に、缶にラベルシールを貼り付けて、自分だけのアートワークを施した「Jinny Lemon Sour」が完成!「Jinny」ステッカーもそれぞれ好きなところにのせる。
ちなみに、ギャラリー主宰のロレンツォさんは、夜な夜な大量の「Jinny Lemon Sour」ラベル貼りを手作業したので、プロ並みの腕前になったそう。私も代わりに貼ってもらい、綺麗な仕上がりになって大満足。
ドローイングワークショップに夢中になっていたら、いつの間にか雨も止んでいた。出来上がった缶を片手に、お次は、ローンチ記念イベント「Lemon Roads」展を巡るアーティスト・ウォークへ出発!
缶ラベル展示アーティストのひとり・Adam Espositoさん(中央)による解説
Photo:Lorenzo Menghi
アーティスト・ウォークは、Jinny Street Galleryの目玉イベント。アーティスト本人の解説を聞きながら、点在する街灯ギャラリーを鑑賞することができる。
夜の街を街頭の光に吸い寄せられるように皆で街歩き。参加者同士のコミュニケーションも自然と生まれ、ちょっとしたゲーム感覚もあって皆との一体感が心地よい。
こちらがAdamさんのアートラベル缶。日本独自の木工技術「組子」を基盤とし、神宮前の街を表現。和モダンなパターン配置は、地域に混在するたくさんの(建物や空間などの)個性を表し、レモンを忍ばせることで遊び心をプラスしている。
42ものアートワークは、先ほどのドローイングワークショップのように、さまざまなテイストが出揃う。また、街灯ケース内に飾られたラベル缶がしっかりと見せられるように、レモン色の台座を用いて高さを出すなど、魅力的な展示にするための工夫も満載。
雷雨で濡れたガラスも、ラベル缶を彩るひとつの要素に。路上ギャラリーだからこその偶然の産物が美しい。
ラベル缶後ろのアートボード上部には、アーティスト名・タイトルが記載され、右上のQRコードからはギャラリー公式サイトにアクセスすることができる便利な仕様。
さらに、台座下には「ココで飲めるよ!」QRコードが。スマホで読み込むとGoogleマップにアクセスでき、「Jinny Lemon Sour」販売店舗がレモンマークで表示されるキュートな仕掛けだ。
取り扱い店鋪のひとつである角打ちスペース「ぼっちりや 糀薫(はなか)」 にて。ここは、高知の地酒とお惣菜やおつまみが楽しめる立ち飲み店だ。
「Jinny Lemon Sour」販売店舗は全て神宮前2丁目内、いずれも街灯ギャラリーを巡るコース沿いに位置している。もちろん取り扱っているお店は、この企画への参加者となるため、レモンサワーを切り口に声をかけることで、ぐっと距離も縮まりそうだ。実際、編集部員の一人はクラフトレモンサワーの話題でお店の人やお客さんと仲良くなった。展示を楽しみつつ、街との距離も近くなる。なんて良い企画だろう。
最後は恒例の記念撮影。私もちゃっかり入らせてもらってます。
Photo:Lorenzo Menghi
神宮前2丁目のアート缶をぐるっと巡り、その後、再び「ニニニ」に戻ってレモンサワーを楽しむ人もいれば、街灯ギャラリーを辿り直してじっくりと鑑賞する人もいて、最後まで自由で和気あいあいとしたムードにほっこりする。
最後に、イベントに参加した感想としては、取材を度外視して、かなり満足度の高い愉しい時間だったと感じている。参加者と、街、アート、人、時間、コミュニケーションと全てを共有する心地よさ。参加者自体が多くないこともあり、その密度の濃さもよかったところのひとつだろう。
「Jinny Street Gallery」のワークショップ&アーティストウォークは、展示が変わるごとに定期的に開かれるので、ぜひ参加をお薦めしたい。原宿エリアの中でも独特な魅力を醸し出す神宮前2丁目の魅力が理解できるだけではなく、自然とこの“神二”と繋がり、そのメンバーの一員になれることだろう。
■概要
『Jinny Lemon Sour』新発売/ローンチ記念「Lemon Roads」展
発売日:2024年7月6日(土)
展示開催期間:2024年7月6日(土)〜8月3日(土)
展示開催場所:Jinny Street Gallery
住所:東京都渋谷区神宮前2-31-5
営業時間:24時間
定休日:なし
<販売店舗>
HORAYA @ho_raiya
ぼっちりや @botchiriya_hanaka
ニニニ @lllllltokyo
Magpie Cafe @magpie_cafe_tokyo
魚まみれ眞吉 @shinkichiharajuku0
ハットコーヒー @hatto_coffee
アフターサヤック
FiGARO原宿H-14 @figaro_harajuku_h14
※敬称略
Text & Photo:Rumi Hasegawa