路上の延長線上で人を繋ぐ その受け皿の発展に期待
街ではインバウンドも増え、街中での路上飲みが問題となっている昨今(実際に問題なのはそのあとのゴミだったりする)。渋谷駅周辺では平時でも、路上飲みが禁止される条例が2024年10月1日から施行されることが取り沙汰されている。表参道・原宿、神宮前エリアも同じ渋谷区なので他人事ではない。
オフィスからの帰り道、集まって路上で飲んでいる若者、観光客はある種、オモハラエリアの日常的な光景となっている。全肯定はしがたいが彼、彼女たちだって、好んで路上で酒を飲んでいるわけではないだろう。夜、酒を片手に語りたいとき、人恋しいときに、ちょうど良い場所。たまたまそこが路上なのである。
そもそもやっている店が少ないのだから、なんでも取り締まって排除することだけが解決なのかは疑問ではあり、ローカルメディアとして考えなければいけない課題のひとつだと思う。
表参道 BOOKMARCクロージングパーティ。向かいのラルフローレン 表参道の雰囲気もあいまって、海外に来たような雰囲気だった。
そんな事情を鑑みると、先述したとおり、早い時間に終わるレセプションのあと、気軽に行ける場所が増えれば、街を回遊することに繋がる。レセプションによってはクラブに場所を移してアフターパーティが行われることも多い。そこまでの中の時間がぽっかり空いてしまっているところに、いくつか受け皿としての場所(飲食店やバーなど)がもっと発展すれば、オモハラエリアの夜の復活へのポジティブな要素になり得る。
きっとリスペクトすべきオモハラの先人たちも、店の軒先や路上の他愛もないワンシーンから大きな文化のムーブメントを生み出してきたに違いない。個人的にはいつだってカルチャーは街の中、路上から生まれるものであると信じている。 すでにそれは始まっているかもしれないが、今後、表参道・原宿で路上の延長線上、店や企業と路上を繋ぐ浮島として、レセプションがさらに機能していくのでは。そんな可能性を大いに感じる。
表参道 BOOKMARCのクロージングパーティにて高木完氏によるDJ(2023)。
最後に、レセプションに行く際は、相応のルールやマナーを守るのは大前提。くれぐれも、事前申し込み制や関係者招待制のクローズドなレセプションに突然行ったりなど、不躾な態度をとらないよう肝に銘じなければならない。自戒を込めてもいるが、ホストやその場で出会った人たちへの愛とリスペクトを忘れず、魅力的な表参道・原宿の夜の街で各々の交流を楽しんでほしい。
アーティスト・矢入幸一氏の過去最大規模個展『Koichi Yairi 24,♯1』レセプション(2024)。親交のあるギャラリストやアーティスト同士が一堂に会している光景もならでは。
Text:Tomohisa Mochizuki
Photo:OMOHARAREAL編集部