表参道・原宿の夜を熱くするものとは?
表参道・原宿エリアにはあまり知られていないゴールデンアワーがある。知られていない、というのは主に店舗やギャラリーの顧客、関連のPR、メディアで働いている人に対しての向きが強い催しだからだ。それこそが企業やブランドが行っている「レセプションパーティ(以下:レセプション)」である。
東急プラザ 表参道 「オモカド」5F「LOCUL」で行われた、90年代〜00年代初頭のストリートブランド全盛期“あんとき”を深堀りするウェブメディア「ミミック(MIMIC)」初のフィジカルイベント「あんときマーケット」レセプション。(2024)
レセプションとは、店や企業の「受付」を指すこともあるが、意味としては「歓迎会」や「招宴」を表す言葉で、その名の通り表参道・原宿エリアは特に、アートイベント、新作発表、オープニング、ポップアップショップなどのレセプションが多く開催されている。特に新型コロナが感染症法上の5類に移行した2023年5月からは爆増している印象だ。
どの街にもレセプションはあれど、表参道・原宿という街はその数が圧倒的に集中している。その理由は主に2つ。
ひとつはご存じの通り、この街は見本市的な側面があるためブランドの旗艦店が多く、その周辺には関連するPR会社の本社が置かれていることが多いこと。
もうひとつはアートギャラリーや短期で借りられるポップアップスペースの数も集中していることが挙げられる。
ビッグメゾンやグローバルブランドがポップアップを行うことが多い原宿駅近く、ヨドバシJ6ビル。ここで行われるイベントは規模が大きい。メディア内覧会後のレセプションの様子(「TIME UNLIMITED - カルティエ ウォッチ 時を超える」2023)
新店のオープン、新商品の発売、新しいプロジェクトの発表、アートギャラリーの展覧会。会期スタートとなる週末金曜日の夜ともなればエリア内で複数のレセプションが催されている。編集部が回れる範囲は多くても、3、4軒ほどだが実際にはその2〜3倍以上の数のレセプションが行われている。あまりに多くて回りきれないときは編集部員で分担して回ることも。
我々と同じように他会場で頂いたであろう、ノベルティかなんかのショッパーをいくつか持っている人を見かけることもしばしば。他のレセプション会場で会った人と、また違う場所で顔を合わせたり、それが友人や知人ならばそこから連れ立って回遊したりする。
規模は違うが同時多発的に行われるレセプションを回るのは、かつての「VOGUE FASHION’S NIGHT OUT」(通称「FNO」)を彷彿とさせる(取材や記事に関連した場所、関係性がある場所を回るというのがFNOとの違いだろう)。
VOGUE FASHION'S NIGHT OUTの様子。さながらお祭りのような熱気を写真から感じる(2016 編集部撮影)
>>【次のページ】“見本市”の街で繰り広げられる、ボーダーレスな社交場