【レポート】FRUiTSが追った原宿の20年 BOOKMARCより、創刊者・青木正一が選ぶベスト10ショット!
1996年に創刊し、原宿を中心に東京のストリートファッションを観察し続けたスナップ誌『FRUiTS』。その創刊者であり、数々の個性派ファッショニスタを撮影してきた青木正一氏の写真展が、ファッションブランド「マーク ジェイコブス」のブックストア「BOOKMARC」で開催中だ。期間は2020年9月30日(水)まで。
この写真展は、「マーク ジェイコブス」の新ライン「Heaven by Marc Jacobs」のスタイルブックを青木氏が手掛けたことにより実現したもの。『FRUiTS』が写してきた原宿のストリートファッションと、この新ラインはどのようにリンクしているのだろうか。実際に訪れてみた。
時代を超えて伝わるストリートのエネルギー
写真展が開催されているのは「BOOKMARC」の地下1階。キャットストリートから続く外階段を降りていくと、スナップ写真や「Heaven by Marc Jacobs」のアイテムが並んだカラフルな空間が現れる。
展覧会名に「My Best 100 #1-#10」とあるように、今回は過去230号を超える『FRUiTS』に掲載されたスナップの中から、青木氏がベスト100を選出。そこからさらに厳選した10ショットを展示している。
上段がベスト10。下段は同じショットをガラス封入したもの。いずれも購入可能
こちらが選び抜かれた10点のスナップ。特に説明書きなどはなく、被写体となっている人がどんな人なのか、スナップはどんなシチュエーションで行われたのかなどはわからない。だからこそ、1枚1枚を眺めるほど、様々な想像が掻き立てられる。
一つだけわかるのは、この10点がいずれも1997〜2001年に撮影されたということ。(会場の片隅に置かれていた目録をこっそりカンニングした)
青木氏がストリートに与えた影響は凄まじく、かつての原宿には彼にスナップされたい若者が集まる「青木待ち」なる現象も巻き起こっていたという。それだけに被写体たちは皆、人混みでもけっして埋もれない強烈な個性を炸裂させている。シャッターが切られた瞬間から約20年を経た2020年に、2次元(プリントされた写真)に閉じ込められた彼らと対峙しても、全力でファッションを楽しむエネルギーが伝わってくるのだ。
よく見るとみんな「極細眉」だったり、1998年まで原宿の休日の風景だった「ホコ天」に立っていたり、端々に時代感が現れているのも面白い
表紙から『FRUiTS』の歴史を見よ!
会場奥には、これまで発刊された『FRUiTS』がずらりと並べられている。それはいわば、街の人たちの感性のアーカイブ。時空を超えてエネルギーがバシバシ伝わってくるようで、「原宿ってやっぱり『ファッションの街』なんだな」と改めて思う。
ロゴデザインや冊子の大きさの変化などからも、『FRUiTS』の歴史を感じられるだろう。ちなみに「BOOKMARC」1階では貴重なバックナンバーや、全237巻コンプリートセットも販売しているので、展示を見た後には必ず立ち寄ってほしい。
ジャンルレスにファッションを楽しむ精神
冒頭でも触れたように、今回の写真展は「マーク ジェイコブス」の新ライン「Heaven by Marc Jacobs」のスタイルブックを青木氏が手掛けたことで実現した。
スタイルブックの写真を紹介するコーナーも。『FRUiTS』と同様、撮影は原宿を中心に行われたとのこと
スタイルブックはストリートスナップ風の写真で構成されている。新ライン「Heaven by Marc Jacobs」のテーマは、ジェンダーや国籍、年齢にとらわれない多様性。自分の感性にしたがってジャンルレスにファッションを楽しむ精神は、『FRUiTS』が追ってきたファッショニスタたちに通じるものがあるのではないだろうか。
撮影者である青木氏自身の写真も発見!
ストリートファッションスナップから、原宿という街のエネルギーを改めて感じられる本展。『FRUiTS』ファンはもちろん、原宿を愛する人々には、ぜひとも訪れてほしい。
1階では『FRUiTS』のバックナンバーを販売。昔のものから売れているとのことで、手に入れたい人は急ぎ訪れてほしい
店舗入り口の横にある階段から地下の展示空間へ
キャットストリート沿いの青い外壁が目印
■概要
Heaven by Marc Jacobs presents 青木正一写真展 “FRUiTS” My Best 100 #1-#10
開催期間:2020年9月1日(火)〜30日(水)
開催場所:BOOKMARC
住所:東京都渋谷区神宮前4-26-14
Text:Natsuno Aizawa