"エロ可愛い"の発信地「オパール」とは? ディレクター・manitasさんに直撃!
「オパール」は、原宿・明治通りの路地裏に、ひっそりと佇むヴィンテージショップ。古着とオリジナルアイテムを販売するお店で、Instagramでは約6万人のフォロワーを持つ。その中には著名人やモデルの名前もチラホラ…。最近では、2号店となる「オパール VER 2.0」もオープンした。
エロくてちょい悪な独自の世界観と、スナックのように佇む妖しげな看板。そんな「オパール」のこと気になっている人、多いのではないでしょうか?
そこで今回は、謎に包まれたオパールのディレクター・manitas(まにたす)さんに直撃!
オパール立ち上げまでのヒストリーや、manitasさんにとっての「原宿」、そして今後の夢について…。まだまだ知られていない秘密をたくさん伺ってきました!
《プロフィール》
「オパール」「オパール VER 2.0」ディレクター。東京都生まれ。18歳の時に「NADIA」で販売員の仕事を開始。その後「PINNAP」での勤務を経て「NADIA」で企画の仕事をする。その後「オパール(OHPEARL)」を原宿に立ち上げ、2018年9月には2号店である「オパール VER 2.0」をオープン。
いい意味で違和感のあるお店が良かった
ファッション好きなティーンが集まるエリアに、レトロスナック風の紫の看板。”なんでもあり”に思える原宿エリアの中で、それでも異彩を放つ「オパール」。オパールを立ち上げる前は、「NADIA」や「PINNAP」という、”ド派手カラー”で女子っぽさ全開なイメージが強い原宿ブランドで働いていたmanitasさん。そんな2ブランドとは、テイストをガラリと変えた、ゆるくてシュールなモチーフが多い「オパール」。このコンセプトにしたのは、どんな理由だったのでしょうか?
「コンセプトについては考えていなくて、まずは看板から入ったんです。カッコいいお店っていっぱいあるじゃないですか。だからカッコいいとかじゃなくて、他にはないものがいいなぁと思って、スナックをモチーフにした看板にしました。原宿にお店あるけど、”あそこのお店なんか変だよね”っていうのが良かったんです。いい意味で違和感がある感じ(笑)」
オパールという店名には何か由来があるんですか?
「最初は、”パール”にしたかったんですけど、それだと検索でヒットしないなぁと思ったんです。だったら、”オパール”ならいいかなと思って。宝石言葉の”オパール”には、創造性っていう意味があって、それもすごくあっているなぁと。綴りも、ohを付けて差別化しました」
派手カワな店内には、manitasさんセレクトのヴィンテージアイテムや、デザインまで手がけるオリジナルアイテムが並ぶ。
▲カラフルなおもちゃ箱のような店内には、風俗店やホテルなどをパロディしたアイテムも。
その中でも「エロ」や「不良文化」を取り入れたアイテムのイメージが強いオパール。
例えば「#FR2」なんかもそうですが、最近は若い女の子が「エロ」を取り入れたファッションを気軽に着ているのを見かけます。manitasさん的に、その現象をどんな風に見ていますか?
「私も最初は違和感を感じました。前にラブホテルの看板をモチーフにしたシャツを販売した時に、それが速攻完売したんです。買っていく子は、普通の女の子や高校生ばかりで。不思議だなぁーとは思いましたね(笑)。エロいとかそういうことよりも、カワイイ!っていうことが一番重要なのかもしれません」
なるほど。確かに「エロ」に対して、背徳感や照れみたいなものは一切ないような気もします。草食男子とかそういう言葉が流行っている今だからこそ、「エロ」に対してむっつりな気持ちがなく、ファッションの一部としてオープンに取り入れられるのかも。
「エロ=カワイイ」の方程式はいつのまにか出来上がっていたのかもしれない。
▲アクセサリーの種類も豊富! 漢字モチーフのアクセサリーは人気商品の一つ。
「原宿」という場所は、絶対だった
販売員時代から原宿で働き続けるmanitasさん。お店を出す場所に「原宿」を選んだ理由は?
「原宿という街は、私の中で”絶対”でしたね。渋谷でもないし、高円寺でもないし、中目黒でもない。やっぱり、原宿が1番面白い。明るくって変な人がたくさんいるんですよ、いい意味で(笑)こういうの(オパール)が受け入れてもらえる街は、ここしかないかなって」
販売員をしていた頃と、現在の原宿に違いはありますか?
「やっぱり、昔の方が面白いことがたくさんありましたね! たとえば、今はストリートスナップとかも少なくなってしまって残念です。当時は、FRUiTSとかZipperとかスナップが盛り上がっていて、私もよく出させてもらっていました。ストリートスナップから生まれるスターがいたりとか。みんなスナップに載りたい気持ちからか、ファッションへの関心が強まったり、オリジナリティのあるファッションをする人が多かったようにも思います。だから今は、それがなくなってしまって超つまんないですね(笑)。ぜひ、復活してほしい!」
もっと個性をブッ飛ばしていってほしい!
▲ぶっ飛んだイメージの強いmanitasさんだが、実はとてもおっとりしていて話しやすい!
今は、当時のように個性がブッとんだファッションをする人が少なくなったようで、それも残念だとmanitasさんは話す。
「今はみんな同じファッションに見えてしまって、それが残念ですね。もっと個性ぶっ飛ばしていいんじゃないのかなと思います(笑)。インスタグラマーやモデルが着ているからとか、そういうのじゃなくて、一人一人が、自分だけのファッションを発信していったら、原宿がもっと楽しい街になると思うんです」
▲初めての人でも入りやすいように、開放的な入り口に。
▲パワーアップしたVER2.0は、ちょっぴり近代的な内装。
2018年には、「オパール」の2号店「オパール VER 2.0」を、原宿にオープンしたmanitasさん。今後、この街で叶えてみたい夢はありますか?
「本物のラブホテルを作りたいです(笑)ホテルをモチーフにしたアイテムをたくさん出しているのですが、それがとても人気で。そんなアイテムたちを集めて、オパールの世界観を楽しめるホテルにしたいですね。内装をめっちゃ可愛くして原宿の若い子たちに来てほしい!…あれ、でも今の若い子ってみんなラブホテル行かないんですかね?(笑)」
架空のラブホテル「HOTEL オパール」が、現実のラブホテルとして出現する日も近いかも…!?
原宿ならではの「個性を大切にするファッション」を愛し、今もそれを原宿の若者に伝えるmanitasさん。エロも不良文化も、全部「カワイイ」に変えてしまう彼女の、これからの活躍も目が離せない!
Text:miwo tsuji
Photo:Yusuke Iida