「鯖を超高解像度で撮影すると、空と海の風景画になるんですよ」
(2018/04/23)
GYREで4/20から始まった展覧会に早速行ってきた。
開催日当日の夕方に行われたプレスツアーで、嬉々としてそう語るのは、メディアアーティストの落合陽一氏だ。
彼の専門フィールドである工業製品的な作品が多い中、唯一額装されて壁に飾られた新作の風景画らしき作品も、彼の手にかかればいわゆる風景画とは一線を画するメディア作品になりうるらしい。
空と海、上下から敵に襲われる危険のある鯖という魚は、背中側に海に擬態する模様を持ち、お腹側には太陽光できらめく水面に擬態する模様を持つ。だったら、鯖を真横から見ればそれは空と海が逆さまの風景画になるんじゃないか。
そんな頭の天窓が開くような発想の柔軟さもさることながら、そのアイデアを実行に移す行動力、そして技術力の高さも見過ごせない。鯖を超高解像度で撮影し、銀箔にプリントすることで鯖のテクスチャーを忠実に再現した作品は、そのクオリティの高さに“個性的な素材を使った風景画”として普通に愉しむ人が続出! そして説明を聞いた後には「おいしそう」という声がこぼれるのだ。
光に溶け込む鯖の特性と筆者の撮影スキルの未熟さが相まって、あいにく作品単体での写真はない。が、実物の鯖がそうであるように、この作品も光の加減によって見え方が変わるので、ぜひ会場で左右正面と角度を変えながら眺めてみてほしい。きっと、これまでに見たことがない美味しそうな風景画が楽しめるはずだ。ところで「ハイスペックな機器を駆使して鯖を超高解像度で撮影する」光景って、想像すると何だか微笑ましいな。
落合氏の熱量に感化されて、つい鯖について長々と語ってしまったけれど、展覧会のテーマは実は「茶室」。
入口には華道家の辻雄貴氏とコラボしたユニークな鹿おどしや花器が並び、茶室建築を思わせる“くぐり”を抜けた先には、波と音をテーマにした静けさを湛える空間が広がっている。
展示作品には、侘び寂びを感じられる生物と人工物を対比した作品をはじめ、情熱大陸で完成シーンが放送された網膜に直接映像を投影する作品も。デジタル技術の最先端をいく作品の数々に触れながら、波を聴き、音を視る。そうして最後に訪れる茶室からは、代表作の1つである「Morpho Scenery」を介して、思い思いに人が行き交う表参道の風景が広がるのだ。これまでに見てきた作品やその技術が、いつの日かオモハラの街で実用化されることもあるだろう。
魔法使いと称される落合陽一氏の技巧を凝らした作品を楽しめるのは、6月28日(木) まで。美味しそうな風景画をはじめ、デジタル技術の粋が詰まった作品たちを、ぜひ堪能してみてほしい。
Text:Yuya Tsukune (OMOHARAREAL編集部)
開催日当日の夕方に行われたプレスツアーで、嬉々としてそう語るのは、メディアアーティストの落合陽一氏だ。
彼の専門フィールドである工業製品的な作品が多い中、唯一額装されて壁に飾られた新作の風景画らしき作品も、彼の手にかかればいわゆる風景画とは一線を画するメディア作品になりうるらしい。
空と海、上下から敵に襲われる危険のある鯖という魚は、背中側に海に擬態する模様を持ち、お腹側には太陽光できらめく水面に擬態する模様を持つ。だったら、鯖を真横から見ればそれは空と海が逆さまの風景画になるんじゃないか。
そんな頭の天窓が開くような発想の柔軟さもさることながら、そのアイデアを実行に移す行動力、そして技術力の高さも見過ごせない。鯖を超高解像度で撮影し、銀箔にプリントすることで鯖のテクスチャーを忠実に再現した作品は、そのクオリティの高さに“個性的な素材を使った風景画”として普通に愉しむ人が続出! そして説明を聞いた後には「おいしそう」という声がこぼれるのだ。
光に溶け込む鯖の特性と筆者の撮影スキルの未熟さが相まって、あいにく作品単体での写真はない。が、実物の鯖がそうであるように、この作品も光の加減によって見え方が変わるので、ぜひ会場で左右正面と角度を変えながら眺めてみてほしい。きっと、これまでに見たことがない美味しそうな風景画が楽しめるはずだ。ところで「ハイスペックな機器を駆使して鯖を超高解像度で撮影する」光景って、想像すると何だか微笑ましいな。
落合氏の熱量に感化されて、つい鯖について長々と語ってしまったけれど、展覧会のテーマは実は「茶室」。
入口には華道家の辻雄貴氏とコラボしたユニークな鹿おどしや花器が並び、茶室建築を思わせる“くぐり”を抜けた先には、波と音をテーマにした静けさを湛える空間が広がっている。
展示作品には、侘び寂びを感じられる生物と人工物を対比した作品をはじめ、情熱大陸で完成シーンが放送された網膜に直接映像を投影する作品も。デジタル技術の最先端をいく作品の数々に触れながら、波を聴き、音を視る。そうして最後に訪れる茶室からは、代表作の1つである「Morpho Scenery」を介して、思い思いに人が行き交う表参道の風景が広がるのだ。これまでに見てきた作品やその技術が、いつの日かオモハラの街で実用化されることもあるだろう。
魔法使いと称される落合陽一氏の技巧を凝らした作品を楽しめるのは、6月28日(木) まで。美味しそうな風景画をはじめ、デジタル技術の粋が詰まった作品たちを、ぜひ堪能してみてほしい。
Text:Yuya Tsukune (OMOHARAREAL編集部)
INFORMATION
【展示会レポート】メディアアーティスト・落合陽一の個展がGYREでスタート! その内容とは?
- 住所
- 東京都渋谷区神宮前5-10-1
- 電話
- 03-3498-6990
- 営業時間
- 4/20(金)-6/28(木)
11:00-20:00 - 定休日
- なし