"月的意識"の居場所を再び取り戻す
神宮前3丁目・NANZUKA UNDERGROUNDにて、アメリカ人作家 マリオン・ペック(Marion Peck)による新作個展「Forgotten Mysteries of the Sublunar Realm」が、2026年4月11日(土)〜 5月16日(土)まで開催される。
マリオン・ペックは、南カリフォルニアを発端とする「ロウブロウ・アート」と、そこから派生した「ポップ・シュルレアリスム」を代表する作家の一人。ロバート・ ウィリアムズによる雑誌「Juxtapoz」とも強い結びつきを保ち、90年代以降のアメリカのアンダーグラウンド・カルチャーの重要作家として評価されている。2022年には同ギャラリーにて日本初となる個展を開催した。
ペックの作品の特異性は、前述したムーヴメントの担い手であるという点に留まらない。かつて女性シュルレアリストたちの多くがそうであったように、作品には現実世界に根づく家父長主義的な文化への懐疑的な姿勢が反映される。
「私は『フェミニスト・アート』を作ろうと意図しているわけではありませんが、自分の芸術を、いわゆる『女性的なもの』を祝福し、敬意を払うものだと考えています。私の作品は英雄的ではなく、誰かを圧倒しようとするものでもありません。公共の場よりも、むしろ個人的な空間に馴染むものです。」(マリオン・ペック ステートメントより抜粋)
本展では、小さな木版に描かれた緻密な油彩画の新作群 21点を展示。擬人化された動物や頭の大きな人間が交わす、慈しみ、気遣い、対話といったケアのしぐさは、ペック独自の奇妙な世界観の中にありながらも、どこか心地良い。それらは、ジェンダーに基づく役割規範を盾に卑小化されてきた、"月下界的価値観"の回復への希望を示唆するかのように映る。
絶えず変化する形に満ち、月のようにリズムとサイクルを繰り返す「月下界(Sublunar Realm)」。乏しめられてきた「月的意識(女性性)」の居場所を再び取り戻す、闇夜に浮かぶような神秘的なペックの表現を、多様な価値観を内包する原宿の街で目の当たりにしてほしい。
■画像
©Marion Peck Courtesy of NANZUKA
■マリオン・ペック|Marion Peck
Forgotten Mysteries of the Sublunar Realm
会期:2026年4月11日(土)〜 5月16日(土)
開催場所:NANZUKA UNDERGROUND
住所:東京都渋谷区神宮前3-30-10
営業時間:11:00-19:00
休廊日:日・月曜日
■オープニングレセプション
開催日時:4月11日(土)17:00-19:00
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会場から徒歩5分の SH GALLERY では、シャーン・ダンテス(Furry Little Peach)による個展「Midnight Picnic」が開催中。"世界が寝静まったあとには何が起きているのか"——シャーンが幼少期の頃から特別な安らぎを感じてきた「夜の時間」が、色鮮やかに軽やかに描き出されています。
※敬称略
Text:Rumi Hasegawa
INFORMATION
神宮前・NANZUKA UNDERGROUNDで マリオン・ペック(Marion Peck)による新作個展が開催
- 住所
- 東京都渋谷区神宮前3-30-10
- 営業時間
- 11:00-19:00
- 定休日
- 日・月曜日
- 開催期間
- 2026年4月11日(土)〜 5月16日(土)
- 長谷川瑠美
外部ライター
































