YOSHIROTTENのアートインスタレーションから、原宿の街と繋がる夜のプログラムまで。「THE HALL」と「THE TUNNEL」を潜入レポート
洗練されたブランドが立ち並ぶ表参道と、ユースカルチャーが交錯する原宿。その沿線に誕生した「原宿クエスト」の地下フロア(B1F)が、ついにベールを脱ぐ。
喧騒から切り離された地下に広がるのは、en one tokyoが手がけるコミュニティスペース「THE HALL」と併設のレストランスペース「THE TUNNEL」だ。3月14日(土)から開幕するアーティスト・アートディレクターYOSHIROTTEN(ヨシロットン)を迎えたエキシビション「Quiet Underground: Energy, Sound and Time」を通じ、無機質なコンクリート空間が鮮烈なインスタレーションへと変貌を遂げていた!息を呑むような空間の全貌を、20枚の写真とともにレポート!
新たなムーブメントを生み出す、創造的な原宿の地下室へ潜入!「THE HALL」と「THE TUNNEL」内覧会レポート

原宿・表参道、原宿クエストビル1F「NIKE HARAJUKU」のすぐ横、大通り沿いに口を開けた、地下への階段が入り口だ。

入り口右手に出迎えてくれるのはYOSHIROTTENの作品「Tranthrow」。センサーを使いさまざまな場所で光を採取して制作されるシリーズだ。作品がプリントされたアルミ合板は人工衛星などにも使われる軽く丈夫な素材を採用している。地下にいながら、太陽光や人工衛星の素材など、果てしない宇宙を感じさせるところがユニーク。

奥に広がる「THE HALL」のスペース。コンクリートの躯体に回る光、そして建物を屋上まで貫いているという大きな柱に展示される、ダイナミックなインスタレーションが目を惹く。

展示されているこの大きなパネルは、なんと原宿クエストの屋上に設置された「分光器」という光の計測器によって採取された光を、リアルタイムでモニターしているという。地下空間でありながら、“今”の外の光の状況を直感的に捉えることができる、面白い試みだ。

入り口付近で展示販売されている作品も、原宿クエスト周辺で採取された光(可視光線、赤外線、紫外線のデータ)をもとに作られたもの。ひとつだけYOSHIROTTENの故郷、鹿児島の光によって作られた作品がある。
会場の一角に設置された、YOSHIROTTENによる代表的なプロジェクトのひとつ「SUN」から生まれたゲーム「SUNBIENT」。製品化も検討しており、実際に遊ぶことができる。内容はシンブルながらアイテムを取ると音楽が変わったりと画面内の色(光)などの変化を楽しむことができた。

会場奥で赤いライトに照らされているのは、LED菜園。光の届かない地下で菜園とは、これまたディストピア感があるインスタレーションだ。横浜市の産業用機器製造業者、キーストーンテクノロジーによる特殊なライトで植物を育てている。

水が循環しており、光があたらない場所でも安定して野菜が育つのだという。YOSHIROTTENさんの好きな蕎麦にちなみ、蕎麦スプラウトというカイワレのような新芽野菜とエディブルフラワーなどが栽培されている。「音楽やアートも肥料になっている」とはYOSHIROTTEN談。人もきっと同じだ。

LED菜園から出ているコードを辿ると、会場の隅に設置されたモジュラーシンセサイザーにつながっており、なんとLED菜園の植物から電気信号を受け取って音楽を生成。会場内のBGMとして流しているのだという。安らかなアンビエントミュージックだったので菜園の居心地は良さそうだ。

一際会場で存在感を放つDJブースは、三宿のミュージックバー「Pinknoiz」から本展のために機材を借り、組み上げられたもの。YOSHROTTENがレコードを持ち寄りリスニングの習慣にしていたというPinknoizは3月で一旦閉店になってしまったのだが、Pinknoizの意思を継いだこのブースを舞台に、日々さまざまなキュレーターを迎え、イベントが行われるというから期待が高まる!

特設ブースからの眺め。設置された特注のビーズクッションのソファーは自由にくつろげる。

奥へと誘い込まれるように続く「THE TUNNEL」との空間の境界。光の雰囲気もガラリと変わる。普段はシャッターによって区切られているそうだが、18時になると開放され、アート空間から食の空間へとシームレスに接続する見事な導線だ。
足を踏み入れると、ソリッドなSF感はありつつ、随所に配置されたUSMハラーの什器や畳のボックスベンチなどにレトロな温かみも感じる。時代性も国籍も感じさせない、ワクワクさせる整然とした雑多感のバランスはお見事。
料理はホットドッグなどのフィンガーフードをメインに提供。ホットドックと緑茶ベースのラテや創作ドリンクを試食・試飲させてもらった。 今後、お酒とともに楽しめる料理やお昼にガッツリ定食スタイルの料理など、幅広く提供する予定という。どの国の人が来ても楽しめる、無国籍感をあえて打ち出すラインナップを考えているそうだ。

圧迫感のない客席レイアウトが、地下にいながら心地よい解放感をもたらす。孤独にアートや光と見つめ合う部屋からトンネルで繋がる、コミュニケーションの部屋。1日のバイオリズムが空間で表現されているような気がした。

夜は静的な展示室から続く、有機的なアンダーグラウンド・ラウンジと化す「THE TUNNEL」と「THE HALL」。アートの光に照らされながら、空間と食、そして音楽を堪能できるという贅沢な空間だった。
やはり特筆すべきは、オープンイベント期間中、毎日18時以降に展開されるイブニングプログラムである。この時間帯は「THE HALL」と「THE TUNNEL」がひとつの空間として繋がり、表参道・原宿エリアと縁の深いアーティストやクリエイターたちが日替わりで音楽をプレイする。会場の光と同様、日々表情を変えるイベント、楽しみしかない!

多様な人々が行き交い、常に新しいムーブメントを生み出してきた原宿の街。そのDNAを受け継ぐように、この地下空間では音・食・アートが交わり、実験的なコラボレーションが毎夜繰り広げられる。街のカルチャーと深く結びついたこの新しい地下室は、訪れる者に未体験のインスピレーションを与えてくれるはずだ。ぜひ足を運んでみてほしい。

■Quiet Underground: Energy, Sound and Time
by YOSHIROTTEN
開催期間:
2026年3月14日(土)〜3月29日(日)
開催場所: THE HALL & THE TUNNEL
住所:東京都渋谷区神宮前1-13-14
原宿クエスト B1F
インスタレーション:12:00-22:00
イブニングプログラム:18:00-22:00
定休日:なし(会期中無休)
Text & Photo:Tomohisa Mochizuki
- マネージャー
- 望月トミー智久
tommy

























