SPIRAL(スパイラル)|開館40周年!SPIRALに込められた文化への愛のかたち
南青山のランドマーク「SPIRAL(スパイラル)」が2025年で開館40周年。1985年、インナーウェアメーカー「ワコール」が文化の事業化を目指して“生活とアートの融合”をテーマに誕生した複合文化施設だ。そんなスパイラル、デザインや空間にいろいろな秘密があるって知ってた?初公開となる情報を含め、スパイラルについてのTIPSを紹介!
スパイラル40th × 槇総合計画事務所60th「槇文彦とスパイラル –アートの生きる場所– 」にて。設計初期の資料やスケッチが多数初公開された
設計は世界的建築家・槇文彦氏。代官山ヒルサイドテラスや幕張メッセなどを手がけた巨匠だ。青山の直線的な街並みの中で“螺旋を描くように上昇する建築”を構想し、「建物全部が同じつくりであるのは、建物への愛がない」という信念のもとデザイン。
1985年の開館当時の外観写真:スパイラルより提供
建物正面左側の正方形は、青山通りの傾斜を外観に取り込み、街と呼応するように設計された。館内のフロアごとに光や天井の高さが異なり、歩くたびに印象が変わるのが魅力だ。
スパイラル内観 エントランスから2F「Spiral Market」、3F「Spiral Hall」のホワイエまで続く階段「エスプラナード」:スパイラルより提供 photo: Junpei Kato
実は当初「ワコールアートセンター」という名称だったが、「もっと柔らかく、文化がうずまくような名を」との意見から、象徴的なスロープの形状をもとに“螺旋”を意味する「スパイラル」に変更。
名称のサインを外壁パネルごと外してまで差し替えたという本気ぶりだ。さらに、表参道駅と館内を地下で直結する計画もあったとか。実現はしなかったが、B1出口がそのままスパイラル内に続く構想だった。街の人の流れをも“螺旋”の中に取り込もうとしたアイデアは面白い。

現在のスパイラル外観:スパイラルより提供 photo: Junpei Kato
館内にも隠れたTIPSがいくつもある。通りに面した「エスプラナード」途中、中2階の椅子。これはただなんとなく置かれているわけではない。
「孤独は私の故郷である」
というニーチェの言葉から生まれた、「街の喧騒の中でひとりになれる席」として設置された。

足元の三角模様のカーペットもただのデザインではなく、実は避難経路を示す矢印で、見た目と機能を両立している。

スパイラル奥側にある吹き抜けのホール(アトリウム)も当初は中央に設ける案があったが、同時期に設計を手掛けていた、中央に吹き抜けのある京都国立近代美術館とは異なり、スパイラルには奥の方が好ましいと考え、今の位置に確定した。

象徴的な螺旋階段のホール「アトリウム」:スパイラルより提供 photo:Junpei Kato
アトリウム中央案が記された当初の図面は残されていないが、槇氏のスケッチブックにのみ、設計の足跡が残されている。

スケッチブックに残された、ホール中央案の図面スケッチ(槇総合計画事務所):スパイラルより提供
どこまでも“同じ建物は作らない”という槇氏のこだわりが光る。ちなみに、京都国立近代美術館は工期が延長になったため、スパイラルが先に開館することに。

スパイラルの中央には「Spiral Cafe」が据えられ、奥にはアトリウムという配置に。アトリウムの天窓から光が入るようになっており、自然と奥へと足を伸ばしたくなる。現在の内観:スパイラルより提供
40年を経ても新鮮に感じられるのは、“建築への愛”が細部まで宿っているからだろう。それは言わば、建物に関わる人への愛である。だからこそ長年人々からも愛され、街のシンボルになった。

左:元スパイラル館長、現スパイラルプロデューサー・小林裕幸氏 右:槇総合計画事務所 代表取締役・亀本ゲーリー氏 「槇文彦とスパイラル –アートの生きる場所–」にて、スパイラルの開館の舞台裏やその秘密を語ってくれた。
均質な商業施設が増え続ける今こそ、螺旋のように時代を超えて文化を巻き上げ続けるスパイラルの存在は、改めて特別なのだ。知れば知るほど、魅力的に見えてこない?訪れた際は館内を巡り、思いを馳せながら槇文彦氏とワコールが建物に込めた“愛”を受けとってみてほしい。
設計時のイメージパースのオリジナル
表参道・原宿の名建築特集でもスパイラルを紹介!
スパイラル2F、「Spiral Market」では現在スタッフを募集中
>>スパイラルの求人記事をチェック
■SPIRAL(スパイラル)
住所:東京都港区南青山5-6-23
営業時間:11:00-19:00
定休日:フロアによって異なる(年末年始と夏季に休館あり)
入場料:無料
Text:Tomohisa Mochizuki
Photo:Kozue Inaba
Tomohisa Mochizuki


























