ポーランドより66年ぶりの帰国展
外苑前のワタリウム美術館にて、芸術家・鴨治晃次(かもじこうじ)による展覧会「鴨治晃次 展|不必要な物で全体が混乱しないように」が開催。期間は、2025年4月8日(火)〜6月22日(日)まで。
鴨治晃次は1935年東京生まれの90歳。戦後のポーランド芸術の主流を築いた、1960~70年代を代表する前衛芸術家の一人である。1959年からポーランドに移り住み、現在もポーランドを拠点に画家・インスタレーション・オブジェ作家として活動を続け、その活動はポーランド現代美術の発展史において重要な役割を果たしてきた。
ポーランドより66年ぶりの帰国展となる本展は、鴨治にとって日本で初めての本格的な展覧会。鴨治の小回顧展としてポーランドのザヘンタ国立美術館とアダム・ミツキェヴィチ・インスティテュートによって企画された。会場には、1960年代から今日までに制作された約20点の絵画、9点の立体作品、80点のデッサン、3点のインスタレーションが展示される。
作家活動の出発点を思い起こさせる初期の作品群のなかでも、1960年代半ばに制作された《プルシュクフ絵画群》と呼ばれる彩色した板に穴を開けたレリーフのような絵画シリーズは、鴨治の作家活動の中でも非常に重要な作品。そのほかにも、日本の伝統に影響を受けたというインスタレーション作品《二つの極》(1972年)や、穴の空いた和紙で構成されたインスタレーション《通り風》(1975年)など、鴨治の芸術活動を知る上で欠かせない作品が揃う。
「透明性と、単純性を目指し、不必要なもので全体が混乱しないように」と語る鴨治の作品は、情報とトレンドに溢れたこの街でどのような存在感を見せてくれるのだろうか。外苑前・ワタリウム美術館に集結した作品群を通して、展示タイトルの真意を探ってみてほしい。
■画像クレジット
1.《静物》2003/2013 水、グラス、アルミニウム板、作家蔵 photo: Hans-Wulf Kunze
2.《お寺の壁に》「プルシュコフの絵」シリーズより、1965、油
3.《デッサン》、2012、紙、墨、アクリル絵具、作家蔵 photo by Marek Krzyżanek
4.《通り風/老年》、1975/2018、和紙、糸、作家蔵 photo by Maciej Landsberg
5.《水の底》1992、アクリル絵具、キャンバス、Muzeum Górnośląskiego w Bytomiu 所蔵 photo: Hans-Wulf Kunze
6.インスタレーション「静かさと生きる意志」(ザヘンタ国立美術館
■概要
鴨治晃次 展|不必要な物で全体が混乱しないように
開催期間:2025年4月8日(火)〜6月22日(日)
場所:ワタリウム美術館
住所:東京都渋谷区神宮前3-7-6
時間:11:00〜19:00
休館日:月曜(5/5開館)
入館料:大人1,500円、大人ペア2,600円、学生(25歳以下)・高校生・70歳以上の方・身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳お持ちの方、および介助者(1名様まで)1,300円、小・中学生 500円
主催:ザヘンタ国立美術館/アダム・ミツキェヴィチ・インスティテュート/ワタリウム美術館
協力:ポーランド広報文化センター
※本展は、ポーランド共和国 文化・国家遺産大臣ハンナ・ヴルブレフスカ氏の名誉後援による展覧会です。
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ワタリウム美術館のB1F、オン・サンデーズ&ライトシード・ギャラリーでは、ポーランドの現代美術作家 スタフ・シュムスキーによる個展「ジャカード・テストVol.2」が5月30日(金)まで開催中。ポーランドという点で鴨治晃次の展覧会とも関連性を感じる本展、ワタリウム美術館でも大規模展覧会を行ったコレクティブSIDE CORE(サイドコア)」の企画という点でも注目したい!
※敬称略
Text:miwo tsuji
INFORMATION
ワタリウム美術館にてポーランドで活躍する90歳の芸術家・鴨治晃次の展覧会が開催
- 住所
- 東京都渋谷区神宮前3-7-6
- 電話
- 03-3402-3001
- 営業時間
- 11:00〜19:00
- 定休日
- 月曜(5/5開館)
- 開催期間
- 2025年4月8日(火)〜6月22日(日)
