同時代の東京を生きた2人の視点が交差する
神宮前3丁目・NANZUKA UNDERGROUNDにて、写真家・鬼海弘雄 個展および絵師・佐伯俊男 個展が同時開催される。2025年4月4日(金)〜5月2日(金)まで。
大学卒業後、トラック運転手や遠洋マグロ漁船乗組員、暗室マンなど様々な職業を経て写真家へ転身した鬼海弘雄(1945-2020)。1973年より浅草で出会った人々を撮り続け、45年以上に渡り”浅草シリーズ”を収録した数々の作品集を発表した。
同ギャラリーにて5年ぶりの個展では、1980年代から2010年代にかけて撮影された肖像写真および風景写真からなる「ポートレイト」の作品群を展示する。
被写体となる無名の人々を「王」と呼び、その生き様や人間性を写し取った肖像写真。それと対をなす風景写真は「空間のポートレイト」と呼び、画面から人物を完全に排除したもの。日常生活の中にひそむ“匂い”や、そこにあった人々の息遣いを逆説的に浮かび上がらせる。
また、佐伯俊男(1945-2019)は、1970年に週刊誌「平凡パンチ」で”絵師”としてデビュー。エロス、ユーモア、ホラーを織り交ぜた独特の作風が現代の"春画"や"妖怪画"と評され、日本のアンダーグラウンドシーンのみならず、世界各国で熱狂的に受け入れられた。
本ギャラリーで実施した生前最後の個展以来、日本国内では7年ぶりとなる本展では、70年代から80年に描かれたオリジナル作品を展示する。
あらゆる性的タブーを露わにすることで、観る者の内面をえぐる刺激的な仕掛けに満ちあふれた佐伯の作品。学生運動をはじめとした社会現象や風俗文化が交錯していた1970年当時の東京、その時代精神と佐伯自身の作風が呼応していたことが伺える。
同時代の東京を生きた2人が、それぞれの視点とアプローチで紡いだ作品群。1970年代の原宿カルチャーとも共通する「やりたいことをやる」、その意思が垣間見える表現を、現代の目線から今一度見つめてみてほしい。
■概要
- 鬼海弘雄 個展
- 佐伯俊男 個展
開催期間:2025年4月4日(金)〜5月2日(金)
開催場所:NANZUKA UNDERGROUND
住所:東京都渋谷区神宮前 3-30-10
営業時間:11:00-19:00
休廊日:日曜・月曜
■画像クレジット
1.鬼海弘雄
新宿南口から5分
1979 / printed 1979
silver-halide prints on paper
H50.5 x W40.6 cm
2.鬼海弘雄
高そうなカメラだな..という労務者
1986 / printed 1998
silver-halide prints on paper
H50.5 x W40.6 cm
3.佐伯俊男
大首
1988
Ink on paper, colormarker on tracingpaper
H30 x W39.4 cm
H62.7 x W46.7 x D2.4 cm (framed)
4.佐伯俊男
肉刺繍
1979
Ink on paper, colormarker on tracingpaper
H30 x W39.7 cm
H62.7 x W46.7 x D2.4 cm (framed)
© Hiroh Kikai
© Toshio Saeki Estate
Courtesy of NANZUKA
*「佐伯俊男 個展」には、性的、暴力的な表現を含む作品が含まれております。そのため、ギャラリー2Fへのご入場は16歳未満の方にはご遠慮いただいております。また、これらのテーマに敏感な方、ご不安を感じる方は、鑑賞をお控えいただくことをお勧めいたします。なお、同時開催の「鬼海弘雄 個展」(ギャラリー1F)には年齢制限はございませんので、どなたでもご入場いただけます。
>>EDITOR’S VOICE
ギャラリーから徒歩1分。+81 Gallery Tokyoでは、日本を代表するアートディレクター 井上嗣也による個展が開催中。3月上梓の作品集より、コム デ ギャルソンのビジュアルなどを含む40点を展示しています。アバンギャルドな感性を発揮し続ける井上嗣也の作品を間近で鑑賞できるこの機会をお見逃しなく。
※敬称略
Text:Rumi Hasegawa
INFORMATION
神宮前・NANZUKA UNDERGROUNDで 「鬼海弘雄 個展」「佐伯俊男 個展」が同時開催
- 住所
- 東京都渋谷区神宮前3-30-10
- 営業時間
- 11:00-19:00
- 定休日
- 日曜・月曜
- 開催期間
- 2025年4月4日(金)〜5月2日(金)
- 長谷川瑠美
外部ライター
