「Cafe’ de Rope’」「montoak」から「V.A.」へ 未来への期待とともに“憧れの場所”がカムバック
20年もの間表参道で親しまれ、2022年3月に惜しまれつつ閉店したカフェ「montoak(モントーク)跡地に、2024年12月15日(日)新たに「V.A.(ヴイエー)」がオープンする。プレスプレビューが行われたので速報レポートしたい。
藤原ヒロシがディレクター さまざまなアーティストたち=「V.A.」が憧れの地に贈る新しい風
「V.A.」はモントークを空間プロデューサー・山本宇一とともに運営していたJUNが引き続き運営を担い、藤原ヒロシがディレクターを務めるショップ&ポップアップスペース、ベーカリー、カフェの3層からなる複合的コンセプトストアだ。カフェのプロデュースも引き続き山本宇一が手がける。
看板のない外観はそのまま。中が見えそうで見えないブラックのガラスも健在だ。僕らが愛したmontoakのブラックボックス感を引き継いでいる雰囲気に心躍る。
1Fはショップとして、「V.A.」とコラボしたオリジナルのアパレルやグッズが並ぶ。「V.A.」ディレクター・藤原ヒロシによる、「フラグメントデザイン(fragment design)」を筆頭に、「アンダーカバー(UNDERCOVER)」の髙橋盾、「ダブルタップス(WTAPS)」西山徹といった盟友たちとのコラボアイテムもラインナップされていた。
さらには「アニエスベー(agnès b.)」や「エルエルビーン(L.L.Bean)」、「チャンピオン(Champion)」といったインポートブランドともコラボ。そのほかにも「V.A.」=“Various Artists”(さまざまなアーティストたち)の名に違わぬブランドが名を連ね、「V.A.」の感性をツイストしたアイテムに物欲を刺激された。
2Fから上はベーカリー&カフェ。店内で焼き上げるパンやドーナツを提供し、購入したパンとオリジナルドリンクを楽しめるカフェスペースが広がる。
ベーカリーは生地を乗せるバットごと焼き上げるのでその名も「VAT BAKERY」。めんたいやハムなどのお惣菜系おんパンからシナモンといったスイートなパン、ドーナツまで幅広くラインナップ。
東京・神田の名喫茶「エース」の椅子やテーブルを引き継いだという中2階はレトロな雰囲気の中で飲食を楽しめる。特徴的だった半筒上のくりぬかれたような壁面デザインはそのまま、モントークの面影も感じられるのが嬉しい。今はなくなってしまった店同士のツイストだ。
さらに登っていくと赤と白のコントラストがかわいいカフェフロア。「ロータス(LOTUS)」やモントークを手がけた山本宇一が空間プロデュースを担当した。かつてのモントークをいちばんよく知っているからこそ、思い切りの良い絶妙なポップ感を伴った空間作りはお見事。カーブのかかったアーチ型のインテリアがかわいい。
設計は原宿でもさまざまな空間を手がける「アーキタイプ(The Archetype)」荒木信雄。モントークを手がけたインテリアデザイナー・形見一郎の意匠を残しつつ、新たなエッセンスをミックスした空間に進化を遂げた。
PAC-MAN ×fragment (PAC-MAN™& ©Bandai Namco Entertainment Inc.)
吹き抜け構造、表参道を望む窓。テラス席はなくなってしまったけど、この場所ならではの風景が帰ってきた。やはりこの眺めから楽しむ食事やお茶は格別。取材も忘れ、少しゆっくりして感慨深く空間を堪能した。
大人の社交場、憧れの場所としてあえて入りづらい顔つきにしていたモントークにくらべると、少しだけ親しみやすい表情になったと感じた「V.A.」は、新しい時代に合わせてアップデートされた、新たなカルチャースポットである。さまざまな人が訪れて交流し、フレッシュなトピックスが発信され、新しい文化を紡いでいくことだろう。そんな期待に胸が膨らむ。
「カフェ・ド・ロペ」、「モントーク」、そして「V.A.」へ。連綿とつながる、憧れが詰まった特別な場所で新たな歴史がスタートする。オープン一週間の入店は抽選制となるが、ぜひ足を運んで、未来で語れる思い出を作ってほしい。
■V.A.(ヴイエー)
オープン日:2024年12月15日(日)
住所:東京都渋谷区神宮前6-1-9
事前入店抽選期間:
2024年12月6日(金)12:00〜12月9日(月)11:00
営業時間:10:00〜20:00
定休日:不定休
Text&Photo:Tomohisa Mochizuki