北アルプス国際芸術祭出展作品と連動した展示
ワタリウム美術館B1Fのオン・サンデーズ&ライトシード・ギャラリーで、イアン・キア(IAN KIAER)によるドローイング展「相阿弥プロジェクト モノクローム/Ian Kiaer: Soami project, monochrome」が開催中。2024年10月20日(日)まで。
イアン・キアは、ロンドンを拠点として活動するアーティスト。繊細な素材を通して、物質の間にある見えない関係性や潜在する記憶を示唆する作品を制作している。テートブリテン美術館での個展(2004年)では、発砲スチロールの梱包材やお菓子の包み紙など、捨てられた日用品を用いた作品を発表。遥か遠く離れた未来の風景を表現し、注目を集めた。
本展で披露する作品シリーズ「相阿弥プロジェクト」は、室町時代の絵師・相阿弥の作品に影響を受けたもの。墨や淡い色の絵具がしわしわの手漉き紙に染み込み、まるで過去の空間の中に密やかに描かれたポエムのように語りかける作品となっている。
本作品シリーズは、キアが現在、長野県大町市で開催中の「北アルプス国際芸術祭2024」に出展中の作品と連動したものとなる。芸術祭では、国宝・仁科神明宮に隣接する森に、相阿弥の水墨画を参照した高さ18メートルの巨大な絵画作品を展示中。木々の間に吊るされた絵画は、自然との境界を曖昧にさせ、鑑賞者に刻々と変化する景色を体験させる。
オン・サンデーズに展示される作品は、巨大な絵画作品の予備的な断片との位置付けとなる。薄い透明フィルムに影絵のような人物や建築の情景が交錯し、重なり合った作品は、鑑賞者にその固有の可能性を再考することを促してくれる。
キアは「ゼロから何かを作るという考えは常に間違っている」と語る。”古い”ものの再活性化と同時に、”新しい”という概念への暗黙の批評がこもった彼の作品群。今まさに改修工事中のワタリウム美術館の在り方ともリンクするものを感じられるはず。ぜひ展示に足を運んでみてほしい。
■概要
イアン・キア ドローイング展
「相阿弥プロジェクト モノクローム/Ian Kiaer: Soami project, monochrome」
開催期間::2024年9月18日(水)〜10月20日(日)
開催場所:オン・サンデーズ&ライトシード・ギャラリー
住所:東京都渋谷区神宮前3-7-6 オン・サンデーズ B1F
電話番号:03-3478-0809
営業時間:11:00-20:00
定休日:なし
協力:ALISON JACQUES
>>EDITOR’S VOICE
「オン・サンデーズ&ライトシード・ギャラリー」が入居する「ワタリウム美術館」は現在、大規模修復工事を実施中。工事用カバーを使用した作品展示など、ユニークなプロジェクトを同時開催しています。34年の歴史を未来につなげるための改修、楽しみながらその経過を見守ってみてください。
※敬称略
Text:Rumi Hasegawa
INFORMATION
ワタリウム美術館 B1Fのギャラリーにて、イギリス人アーティスト イアン・キアのドローイング展が開催
- 住所
- 東京都渋谷区神宮前3-7-6 オン・サンデーズ B1F
- 電話
- 03-3478-0809
- 営業時間
- 11:00-20:00
- 定休日
- なし
- 開催期間
- 2024年9月18日(水)〜10月20日(日)
- 長谷川瑠美
外部ライター