銭湯のあとはとんかつに限る!?:OMOHARA TIPS Vol.7
表参道・原宿エリアの文化や歴史にまつわるちょっとしたネタをご紹介する「OMOHARA TIPS」。
湯上がりに脱衣所で飲むコーヒー牛乳はわかるけど、とんかつってどういうこと!?と思ったあなた。それが原宿にはあるんです。しかも、1983年からずっと。
どういうことか、まずはご一読。今回は絶品とんかつでお馴染みの、まい泉にフォーカス!
とんかつ まい泉 青山本店 外観(2024 井筒まい泉 提供)
Apple Store 表参道の隣から始まって外苑西通りにつながる原二本通り。この道は通称まい泉通りと呼ばれている。その由来はもちろん、通り沿いで賑わいをつくる とんかつ まい泉 青山本店だ。
創業は1965年。始まりは日比谷に開いたカウンター席だけの10坪のお店だった。神宮前に拠点を移したのは1978年のこと。創業者である小出千代子氏の自宅があった場所に店舗を構えたのだそう。以来この場所で人々に愛され続けるまい泉だが、そのすぐ裏手には「神宮湯」という銭湯があった。
黄色い破線で囲んだ破風屋根の建物が、かつての神宮湯。
航空写真で見ると、いまも現存する銭湯らしい趣きある建物が見てとれる(まい泉通り側の売店脇からも建物の瓦屋根を奥に見ることが可能だ)。
転機が訪れたのは1980年代のはじめ、この神宮湯が廃業されることになったのだ。創業者の小出氏はその建物を譲り受け、なんとまい泉のダイニングルームとしてオープンさせた。「西洋館」と名付けられたその空間では、今日に至るまでおいしいとんかつが振る舞われている。
西洋館の内観。格子天井は銭湯時代のまま。天井の側面部分、S字に曲がった木の設えも銭湯独自のもの(井筒まい泉 提供)
神宮湯時代の写真。左手には番台が確認できる。(井筒まい泉 提供)
おもしろいのは、銭湯の名残が店内のそこかしこに見てとれること。男湯と女湯の入口はもちろん、脱衣所から見える中庭もそのままだ。
当時の中庭。食事に行った際にはぜひ見比べてみてほしい(井筒まい泉 提供)
そこには、昭和の古き良き日本文化の面影を残しながら、建築を愉しんでもらいたいという老舗まい泉らしい心配りが感じられる。
2019年リニューアル前、2016年時点での西洋館へ続くアプローチ(客席)。男湯・女湯に分かれた入り口に銭湯の名残りを感じさせる。小上がりになっており、銭湯時代はおそらくここで下足を脱いだりしていたと思われる。(2016 編集部撮影 【EAT& DRINK】まい泉青山本店より)
現在はなくなってしまったが、2019年のリニューアルまでは、銭湯らしさの象徴である煙突を外の通りから見ることができた。
貴重な神宮湯の姿(井筒まい泉 提供)。今回、「とんかつ まい泉 青山本店」を運営する井筒まい泉様には記事制作に関して多大なる協力をいただき、貴重な写真をご提供いただいた。
煙突は無くなってしまったけれど、今も古き良き日本のライフスタイルを空間から感じられる、とんかつ まい泉 青山本店。銭湯の跡地という唯一無二のユニークな空間で、愛され続けるとんかつを味わってみてはいかがだろう。
■とんかつ まい泉 青山本店
住所:東京都渋谷区神宮前4-8-5
電話:050-3188-5802
営業時間:11:00~22:00(L.O.21:00)
定休日:なし
Text:Yuya Tsukune
Photo:井筒 まい泉
Edit:OMOHARAREAL編集部
- マネージャー
- 望月トミー智久
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