いまなぜヨーゼフ・ボイスなのかを問う展覧会
神宮前5丁目のGYRE GALLERYにて、「ヨーゼフ・ボイス ダイアローグ展」が開催される。2024年7月17日(水)〜9月24日(火)まで。
ヨーゼフ・ボイス(1921-1986)は、ドイツ・クレーフェルト生まれ。1940年、通信兵として第二次世界大戦に従軍。クリミア半島に墜落した際に、遊牧民のタタール人が脂肪を用いて手当してくれた経験が、後の彫刻作品の根幹となる。戦後、23歳でデュッセルドルフ芸術アカデミーに入学。生涯を通じて、脂肪やフェルトを素材とした彫刻作品の制作、パフォーマンス、対話集会のほか、政治や環境問題にも介入し、その活動は多岐にわたった。
本展では、ヨーゼフ・ボイスの作品や活動を、現代日本の視点で検証する。戦後日本の現代作家6名を迎え、対話形式の作品構成で”いまなぜヨーゼフ・ボイスなのか”を問いかける展示スタイルだ。ボイスと深い交流のあったコンセプチュアルアーティスト/カスヤの森現代美術館(横須賀市)設立者の若江漢字をはじめ、ボイス来日時のポートレートを撮影した写真家・畠山直哉など、ボイスと親交のある面々が揃う。さらに、加茂昂、Aki Inomata、武田萌花ら現代作家が、各々を作品を通じてボイスの現代性を浮かび上がらせる。
本展で展示されるボイスの作品は、カスヤの森現代美術館所蔵品より、ヴィトリーヌ(標本や遺物を収納するガラスケース)を任意に配置したシリーズとなる。本シリーズは、 アウシュヴィッツ・ビルケナウ博物館におけるガラスケースによって展示された遺品と共鳴するものがある。ボイスにとってドイツが背負うホロコーストの闇は深く、その傷をいかに癒し、罪をどう償うかに苦闘し続けた。社会問題として捉えた先に芸術活動へと昇華した経緯を持つ作品群だ。
「すべての人間は芸術家である」との言葉に集約されるボイスの概念は、西洋の思想や芸術の長い歴史をベースとするため、日本人には難解な点も多い。未だ戦争が絶えない国際情勢に鑑みて、6人の作家がヨーゼフ・ボイスの在り方を問う本展。没後38年を経てもなお、国際的な美術界に影響を与え続けるボイスの作品を表参道で目の当たりにできるこの機会、ぜひ足を運んでみてほしい。
■概要
ヨーゼフ・ボイス ダイアローグ展
開催期間:2024年7月17日(水)〜9月24日(火)
開催場所:GYRE GALLERY
住所:東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE 3F
電話番号:0570-05-6990 ナビダイヤル(11:00-18:00)
営業時間:11:00-20:00
定休日:8月19日(月)
主催:ジャイルギャラリー スクールデレック芸術社会学研究所
企画:飯田高誉(スクールデレック芸術社会学研究所所長)
PRディレクション:HiRAO INC
協力:カスヤの森現代美術館
<展覧会出展作家>
ヨーゼフ・ボイス
若江漢字
畠山直哉
磯谷博史
加茂昂
AKI INOMATA
武田萌花
>>EDITOR’S VOICE
OMOHARAREALでは、表参道・原宿文化や歴史をご紹介する「OMOHARA TIPS」を不定期で配信中。Vol.6では、”オモハラエリアに教会が多いわけ”に焦点を当てて解説しています。第二次世界大戦後の表参道原宿の変遷も絡めながら知ることのできる、必見の内容です。
※敬称略
Text:Rumi Hasegawa
INFORMATION
表参道・GYRE GALLERYにて、戦後ドイツ美術の第一人者ヨーゼフ・ボイスとのダイアローグ展が開催
- 住所
- 東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE 3F
- 電話
- 0570-05-6990
- 営業時間
- 11:00-20:00
- 定休日
- 8月19日(月)
- 開催期間
- 2024年7月17日(水)〜9月24日(火)
- 長谷川瑠美
外部ライター