"オフの日"の仁王様ってどんな顔?
2024年6月、神宮前5丁目・キャットストリートと表参道にほど近い場所に「tHE GALLERY OMOTESANDO」がオープンした。記念すべき第1回目の展示として、彫刻家・三好桃加 個展「仁王像たちのオフの日展 2024」が開催される。2024年6月21日(金)〜7月28日(日)まで。
tHE GALLERY OMOTESANDOは編集者・キュレーター米原康正による新しいギャラリー。ラフォーレ原宿 B0.5F「+DA.YO.NE in 愛と狂気のマーケット」、有楽町・阪急メンズ東京「+DA.YO.NE GALLERY」、神宮前3丁目・とんちゃん通りの「tHE GALLERY HARAJUKU」に続く4つ目のギャラリーとなる。1Fには、紹介制のレストラン「サロン覺(KAKU)」を備え、複合的なギャラリーとなっているのが特徴だ。
こけら落としを飾る三好桃加は、1996年香川県生まれ。東京芸術大学大学院 美術研究科 文化財保存学 保存修復彫刻を修了、主に仁王像や狛犬を制作する彫刻アーティスト。”仁王像”の強靭な肉体や厳格な顔つきといった従来のイメージからはなれ、愛嬌がありリラックスした印象の作品を制作している。
本展では、「仁王像たちのオフの日」をイメージし、ゆったりと時間を過ごしている仁王像の作品群が展示される。三好の作る仁王像は、ワイヤレスイヤフォンで音楽を聞いていたり、お菓子を持っていたり、レインウェアを着ていたりと、現代的なアイテムや仕草を纏い、各々が休日を過ごしている姿が新鮮。いずれも厳格な顔つきの仁王像とはうってかわって、にこやかな表情を浮かべた作品に鑑賞者も思わず笑みを浮かべてしまうような作品が並んでいる。
仁王像はもともと、平安時代から寺社仏閣への敵の侵入を防いだり、災難から人々を守る象徴の役目を担っていた。三好は、日常生活でそういった仏教文化の”拝む”姿が薄れていることに寂しさを感じたという。そこで視点を変え、「仏像たちも暇を持て余している」と解釈する。「今まで私たちを見守り支えてくれた分までゆっくり楽しんで休んでほしい」との願いを込め、働いていない”オフの日”の仏像を制作している。
キュレーターの米原康正は「三好の作品は全てを俯瞰したスーパーフラットな視線から始まっている」と語る。「”神にも休日がある”って今まで誰が考えただろう」と続け、三好が生み出す仁王像は、従来の宗教観を超えた”超宗教作品”である、とコメントを寄せている。
会場となるtHE GALLERY OMOTESANDOは、シューズブランド groundsのショップとほど近く、アスレチックブランドやヨガスタジオ、美容サロンが軒を連ねる閑静な場所にひっそりと佇む。寺社仏閣のような、ちょうどいい静けさと気の良さを感じる空間の中、”今この時を楽しむ”三好の仁王像作品を見つめてみてほしい。本来の守護職としての役目を離れ、穏やかに微笑む仁王たちが、忙しない現代を生きる私たちに必要なメッセージを届けてくれるだろう。
■概要
三好桃加 個展 “仁王像たちのオフの日展 2024”
開催期間:2024年6月21日(金)〜7月28日(日)
開催場所:tHE GALLERY OMOTESANDO
住所:東京都渋谷区神宮前 5-16-13 SIX HARAJUKU TERRACE S 棟
営業時間:12:00-19:00
定休日:月曜日・火曜日
>>EDITOR’S VOICE
会場から徒歩7分、表参道を渡ってキャットストリート沿いにあるYOD GALLERY TOKYOでは、米原康正のtHE GALLERY HARAJUKUで展示をしたニットアーティスト・urayutaka参加のグループ展が開催中。そこから3分のtHE GALLERY HARAJUKUでは、ドローイングやファッションにルーツを持つ個性豊かなアーティストたちが参加するグループ展が現在開催中です。休日にぜひ、ハシゴしてみて。
※敬称略
Text:Rumi Hasegawa
Edit:Tomohisa Mochizuki
Photo:OMOHARAREAL編集部
INFORMATION
米原康正の新ギャラリー tHE GALLERY OMOTESANDO がオープン! 彫刻家・三好桃加による個展がスタート
- 住所
- 東京都渋谷区神宮前 5-16-13 SIX HARAJUKU TERRACE S 棟
- 営業時間
- 12:00-19:00
- 定休日
- 月曜日・火曜日
- 開催期間
- 2024年6月21日(金)〜7月28日(日)
- 長谷川瑠美
外部ライター