海野による飛行機の制作過程も展示の一部に
神宮前3丁目・外苑西通り沿いのユーカリオ(EUKARYOTE)にて、美術家・海野林太郎の個展「奇跡」が開催される。2024年6月14日 (金)〜7月7日 (日) まで。海野にとってユーカリオでの2年ぶりの個展となる。
海野林太郎は1992年東京都生まれ、東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻を修了。これまで、宗教的イコン(聖画像)やビデオゲームなど、自身のリアリティや感性に深く根ざしたものをモチーフに、映像やインスタレーションを制作してきた。コロナ禍を経て、「生と死」という、より差し迫ったテーマに着手。私たち個人が信じるものや、見えている世界における、記号や言葉で括ることのできない複雑な有り様を表現する人物だ。
本展では、”天使のイメージ”と”飛行機”の2軸を、人類の天空に対する切なる願望と欲望のかたちとして捉え、映像・絵画・オブジェといった作品群に落とし込んだインスタレーションを展開する。空を飛ぶ純粋な挑戦から始まり、その後、商業・軍事利用を伴いながら発展してきた”飛行機”、キリスト教における天界と地上を結ぶ存在として羽がはえた姿で描かれる”天使”、どちらにも共通する”人間の欲望”という本質を見つめる展示だ。作品には、海野が実際に飛行機の制作に挑む過程も映し出されるという。
“今作に至るまでに、「奇跡」という複雑な現象をいかに描くかに傾注してきた”とステートメントを寄せる海野。タイトルの「奇跡」は、通俗的に用いられるワードでありながら、信仰を持ち、かつて聖書を研究していた経緯もある海野にとっては”本質的な言葉”であることが伺える。
海野は、目に見えず言葉で括ることのできない精神領域を探究する。本展は、否定するでもなく、ただただ”人間の本質”を俯瞰できる展示だ。オモハラエリアの刺激と喧騒をかいくぐった先にあるユーカリオにて、海野による核心を突く表現を見つめてみて。
■概要
海野林太郎個展「奇跡」
開催期間:2024年6月14日 (金)〜7月7日 (日)
開催場所:EUKARYOTE 1 - 3F
住所:東京都渋谷区神宮前3-41-3
営業時間:12:00-19:00
定休日:月曜日
>>EDITOR’S VOICE
会場から徒歩1分。外苑西通りを渡って左のWORLD BREAKFAST ALLDAYでは、スウェーデンの朝ごはんを提供中。スカンジナビア半島に位置するスウェーデンは、キリスト教伝来以前の”北欧神話”が根付く国です。小エビたっぷりのオープンサンド、ゆっくり味わってみてください。
※敬称略
Text:Rumi Hasegawa
INFORMATION
外苑前・EUKARYOTEにて海野林太郎の個展「奇跡」が開催 ”天使のイメージ”と”飛行機”がモチーフ
- 住所
- 東京都渋谷区神宮前3-41-3 1-3F
- 営業時間
- 12:00-19:00
- 定休日
- 月曜日
- 開催期間
- 2024年6月14日 (金)〜7月7日 (日)
- 長谷川瑠美
外部ライター