春の訪れを祝う香りが詰まったブーケ
表参道・原宿には花が似合う。有名店から個性あふれるお花屋さんが点在しているためか、花束を持って街を歩く人の姿も珍しくない。その手にブーケがあるだけで、いつも歩く見慣れた景色も違って見える。一方で、表参道・原宿という街のフレームが一層、花の魅力を際立たせてくれるような気がする。花束と表参道・原宿の景色を重ねて、贈る誰かを想像したり飾る場所を考えたり。気持ちを咲かせる、花と街の風景。
クリスマスローズは春に咲く。春の花のブーケ
by THE LITTLE SHOP OF FLOWERS
エルメス表参道付近
ブーケ(5,500円)
テーマ:今日はいい花、買いすぎの日
使った花:クリスマスローズ、チューリップ、ミモザ、スイートピー
「クリスマスローズは、クリスマスという名前が付いているけど春の代表的な花で品質もかなり良いですよ。ミモザも素敵だし、今日はいい花をたくさん見つけたから、買いすぎちゃってどうしようって日(笑)。春の花を中心に、いい花をたくさん包んでおきますね。」
撮影に協力してくれたお店:THE LITTLE SHOP OF FLOWERS
明治神宮前駅の近く、裏手の小道から緑溢れる庭先に現れる小さな花子屋。“リトルさん”の愛称で親しまれる同業者を始め、ファッション、アートなどさまざまな分野にファンを持つ原宿・神宮前を代表するフローリストである。レストラン「eatrip」と隣接する軒先には、春の花が木漏れ日に照らされて元気いっぱいに顔を出している。新鮮な花の良い香りが原宿の喧騒を忘れさせてくれるフラワーショップ。店名の由来は映画「THE LITTLE SHOP OF HORRORS」(1986)から。
ブーケができるまで:Behind the scenes
神宮前の“リトルさん”。その代名詞とも言うべき人物がご存知、店主である壱岐ゆかりさんである。「今日はいい花がたくさんあって買いすぎちゃった」壱岐さんは決まって笑顔でこう言う。それを聞くとなんだか特別な気がして、嬉しくなってしまう。そんな壱岐さんが選んだいい花たちを、惜しみなく包んでくれた。
各地のローカルとも繋がり自ら農園に赴いている壱岐さん。だけどやっぱり、神宮前が似合う。この場所に立つ壱岐さんと、その横で咲く花たちも嬉しそうなんだよなあ。
ブーケを制作してくれたフローリスト:Florist introduction
壱岐ゆかり(いき ゆかり):インテリアショップ、ファッションプレスなどを経て、2010年に週末だけのフラワーショップを代々木上原にオープン。2013年に現在の原宿・神宮前に移転。2016年にZINE『THE LITTLE SHOP OF FLOWERS』を自費出版し、共著に軒を連ねるeatrip主宰・野村友里との『TASTY OF LIFE』がある。2人は2021年に古布や麻にフォーカスした展覧会を行うなど“暮らし”に関わるトピックや、最近は原宿エリアの歴史も掘り下げている。
■THE LITTLE SHOP OF FLOWERS
住所:東京都渋谷区神宮前6-31-10 restaurant eatripのエントランス前の小屋
電話: 03-5778-3052
営業時間:9:00〜17:00
定休日:水曜日・木曜日
URL:THE LITTLE SHOP FLOWERS
Text & Photo:Tomohisa Mochizuki