沖縄で黙々と制作を続けた25年間
ミヤシタパーク内SAIにて、沖縄出身アーティスト多和田真人による東京初個展「SPACE OUT」を、2月23日(木)から3月12日(日)の期間で開催する。また、2月22日(水)には写真家の石井竜一を招いたトークショーを実施する。
美しく、崇高で、どこか幻覚的でもある抽象画を描き続ける、多和田真人。1990年頃に創作活動を開始、以来25年間一度も沖縄を離れることなく制作を続けてきた。東京はもちろん県外初となる本個展では、昨年から今年にかけて制作された新作の他、多和田が10年以上前に制作し、自宅の倉庫で保管されていた作品で構成される。
本展の中で多くを占める「額縁に収まった絵画」は、描く事へのスランプがきっかけとなり制作が始まった。キャンバス前で悶々とした日々を送っていた多和田は、元来立体作品を制作していたという経緯から、現実逃避をするように、まだ見ぬ絵画を収めるための額縁を作り始める。そうして完成した額縁に真っ白なキャンバスをはめ込むと、不思議と良く描けるようになったという。
画家にとって絵を描くという行為は、描いているのか、描かされているのか、両方の視点から考えることができるのではないだろうか。人の目では認識できないこと、言葉にできないこと、人間が主体の考え方では到底説明のつかないことがこの世の中には幾多も存在する。多和田にとっての制作とは、そういった事実を確かめるための手段であり、自己にある未知を見つけ出していく行為なのだ。
本展について多和田は、「抽象絵画は、単に絵画というだけでなく、その空間に存在する “状況” ではないかと思います。ご承知のとうり、どの空間にも個性があります。東京で初めて個展を開催するという事は、作者自身にとって今生活している環境とは全く違う “東京の空間” と沖縄で製作された “作品” との『経験した事のない未知の融合』であると思います。未経験の変化、まだ見ぬ可能性が、SAI の空間に新たに生まれると期待しています」と語る。
沖縄で一人、黙々と制作を続けてきた多和田の作品が、神宮前に訪れたとき。鑑賞者と、そして彼自身にどのような変化が起きるのだろうか。この貴重な機会をお見逃しなく。
■クレジット
画像1:Title: Untitled,Size: 1700×450×200 mm 技法: oil on canvas, wood panel
画像2:Title: Untitled,Size: 1000×805×26 mm 技法: oil on canvas (each)
画像3:Title: Untitled,Size: 1060×870×55 mm 技法: oil on canvas, flame
画像4:Title: Untitled,Size: 300×223×38 mm (each) 技法: oil on canvas, flame (each)
■概要
多和田真人 個展「SPACE OUT」
開催期間:2月23日(木)〜3月12日(日)
営業時間:11:00〜20:00
開催場所:SAI
住所:東京都渋谷区神宮前 6-20-10 RAYARD MIYASHITA PARK South 3F
電話番号:03-6712-5706
※お出かけの際はマスク着用の上、こまめな手洗い・手指消毒を行い、混雑する時間帯、日程を避けるなどコロナウィルス感染症対策を十分に行いましょう。
>>EDITOR’S VOICE
ミヤシタパークの向かい、渋谷キャストの脇を入り徒歩5分ほどの場所にあるX8 GALLERYでは、アーティスト・中島友太の個展「CERTIFIER(セルティフィエ)」を開催中。こちらは2月28日(火)までの実施となるので、興味のある方はお早めのご来場を。
Text:Arisa Watanabe
INFORMATION
神宮前ミヤシタパーク内SAIにて多和田真人による東京初個展を開催
- 住所
- 東京都渋谷区神宮前 6-20-10 RAYARD MIYASHITA PARK South 3F
- 電話
- 03-6712-5706
- 営業時間
- 11:00〜20:00
- 定休日
- 無休