大自然の美しさと厳しさに没入する体験
表参道・MAKI Galleryでジェイソン・ベレスウィル(Jason Bereswill)の日本初個展「LʼAppel du Vide」が開催中。2023年2月4日(土)〜3月11日(土)まで。
ジェイソン・ベレスウィルは、アメリカ・ニューヨーク州出身で、現在はニュージャージー州を拠点に活動する作家。本展ではベレスウィルの代表的なテーマであるサーファー、アイビー、グランドキャニオンなどを含む18点のペインティングを展示する。
ペレスウィルが描く自然と人間の関係性を題材にする生気溢れる作品は、人物よりも風景に焦点を当て、観る者を絵画の中へ誘引する。その風景画は、自然の偉大かつ壮大な存在と人間との関係を表している。見渡す限りの峡谷の絶景を描いた作品から、より限られた範囲を描いた作品まで、ベレスウィルのキャニオン(峡谷)シリーズでは、大自然が思いのほか厳しく、必ずしも安全ではない事実を示す。
また、近年の作品では風景の中に描かれる人物が、緻密に構成された設定の中で作品のナラティブ(語られ方)を展開させる存在として重要な役割を果たしているのも特徴的である。
展覧会のタイトルでもある「LʼAppel du Vide(訳:虚無の呼び声)」は、高所に立ったときにそこから飛び降りたくなるような“予期せぬ衝動”を指し、ベレスウィルがその病的な現象を体験したときに創造的な衝動との類似性を見出したという。キャニオンペインティングでは物理的な虚無に焦点を当て、サーフペインティングでは視覚的虚無を表現し、アイビーペインティングではツタを装飾の虚無から解放するなど、自然を主題にあらためてこの世界についての考察を促してくれる展示となっている。
土地の色や光、エネルギーを臨場感ある描写で捉えながら作家独自の世界観へと鑑賞者を引き込むベレスウィル。その作品は鑑賞者に “そこにいる ”という感覚を呼び起こさせくれる。表参道にいることを忘れるほどに、大自然の美しさと厳しさにドップリと没入してみてほしい。
■画像クレジット
1.Jason Bereswill, Double Blind, 2022, oil on canvas, 152.4 x 121.9 cm
2.Jason Bereswill, The Colorado, 2022, oil on canvas, 106.7 x 213.4 cm
3.Jason Bereswill, Tree 1, 2022, oil on canvas, 152.4 x 101.6 cm
4.Jason Bereswill, In a Silent Way 2, 2022 Oil on canvas, 213.4 x 121.9 cm
5.Jason Bereswill, Nefertiti, 2022, oil on canvas, 162.6 x 121.9 cm
6.Jason Bereswill, Canyon (Oops), 2022, oil on canvas, 121.9 x 162.6 cm
■概要
ジェイソン・ベレスウィル「LʼAppel du Vide」
会期:2023年2月4日(土)〜3月11日(土)
会場:MAKI Gallery / 表参道, 東京
住所:〒150-0001 東京都渋谷区神宮前4丁目11-11
開廊時間:11:30-19:00
定休日:日曜・月曜
※お出かけの際はマスク着用の上、こまめな手洗い・手指消毒を行い、混雑する時間帯、日程を避けるなどコロナウィルス感染症対策を十分に行いましょう。
>>EDITOR’S VOICE
MAKI Galleryから歩いて約4分の場所にあるミヤシタパーク内のギャラリー・SAIでは、沖縄出身アーティスト・多和田真人による東京初個展「SPACE OUT」が2/23(木)より開催予定。“神宮前のギャラリー”と“沖縄で製作された作品” との『未知の融合』をお見逃しなく!
※敬称略
Text:miwo tsuji
INFORMATION
ジェイソン・ベレスウィルによる日本初個展が表参道・MAKI Galleryにて開催中
- 住所
- 東京都渋谷区神宮前4-11-11
- 営業時間
- 11:30-19:00
- 定休日
- 日曜・月曜
- 開催期間
- 2023年2月4日(土)〜3月11日(土)