作品が響き合う 「エコーチェンバー」な空間
原宿・神宮前3丁目のギャラリーEUKARYOTE(ユーカリオ)では、菅原玄奨、椿野成身、LILY NIGHT(リリー・ナイト)、3名の作家によるグループ展「echo chamber」を、11月3日(木)から11月27日(日)の期間で開催する。
エコーチェンバー現象とは、「自分と似た意見や思想を持った人々が集まる場にて、自分の意見や思想が肯定されることで、それらが正解であるかのごとく勘違いする、又は価値観の似た者同士で交流・共感し合うことにより、特定の意見や思想が増幅する」状態を、閉じた小部屋で音が反響する物理現象から例えたものである。現代では、SNSによる発信とその広まりが代表的である。
本展は、アートギャラリーという一つのチェンバー内で、作家3名による自律した作品同士が響き合う。それぞれの反響を体感した鑑賞者がどのような想いを持ち帰ることができるのか、エコーチェンバーを逆説的に利用した試みとなっている。
菅原玄奨は、工業製品にも用いられるFRP(繊維強化プラスチック)を主な素材とし、触覚性を手がかりに、記号化された人々の姿を形作る。本展に向けた制作では、彫刻と工業製品の相似・相違を踏まえ、消費社会の連続性や無限性について思考を廻らせる。椿野成身は、「時間と空間」というテーマをもとに、記憶の中にある風景の断片を抽出し、絵具やその他の素材を用いて記号化。目の前の風景に影がかかるように過去の風景が覆いかぶさっていくイメージを描く。本展では新作のペインティングを発表予定。LILY NIGHTは、写真をはじめ、ドローイング、コラージュ、映像、立体作品など、多彩な手法で作品を制作。本展では、写真のレイヤーの上に樹脂などでペイントを重ねた平面作品のほか、夜の東京を舞台に人間・非人間的存在の境界にある気配から写し取った作品を公開する。
多くの人々が行き交う表参道に佇む、アートギャラリーという閉鎖的空間。他の意見や思想が遮断された場所で、鑑賞者は何を感じ、何を持ち帰るのか。
■概要
菅原玄奨、椿野成身、LILY NIGHTグループ展「echo chamber」
開催期間:11月3日(木)〜11月27日(日)
営業時間:12:00〜19:00
開催場所:EUKARYOTE
住所:東京都渋谷区神宮前3-41-3
電話番号:03-6432-9131
※お出かけの際はマスク着用の上、こまめな手洗い・手指消毒を行い、混雑する時間帯、日程を避けるなどコロナウィルス感染症対策を十分に行いましょう。
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EUKARYOTEから徒歩3分ほどの場所にあるMAHO KUBOTA GALLERYでは、ジュリアン・オピーの個展を開催中。誰でも気軽に楽しめる、ポップでユニークな展覧会となっている。レポート記事も公開しているので、こちらもぜひチェックしてみて。
Text:Arisa Watanabe
INFORMATION
原宿ユーカリオで菅原玄奨・椿野成身・LILY NIGHTのグループ展を開催
- 住所
- 東京都渋谷区神宮前3-41-3
- 電話
- 03-6432-9131
- 営業時間
- 12:00〜19:00
- 定休日
- 月曜日