世界への違和感をモンタージュで表現
Feb gallery Tokyoにて、加藤崇亮(かとうたかあき)による個展「Montage」を、10月14日(金)〜10月30日(日)の期間で開催する。
加藤崇亮は、映像的絵画を目指し、時間・映写・記憶をテーマにした絵画を制作するアーティスト。加藤の作品の多くは、ポストカードなどに使われている既存のイメージを分割し再構成したものが多い。絵画を”描いていく”というより、イメージとイメージを貼り合わせるようにして、”組み上げていく”のである。白い輪郭線で分割されることによって、奥にあるはずの事物が平面化されて手前にせり出して見えてくる。またある時は、輪郭線がぼやかされることにより、手前にあるはずの事物が奥に引っ込んで見える。加藤の絵画には、このような”距離への違和感”が表現されている。
そんな加藤の作品は、絵具を塗り付ける段階に入ると途端に身体的な要素が導入されていき、変形していく。スポンジで叩くように、時にこするように塗りつけられた背景の木々の緑や湖の青は、輪郭を失い、それでも景色の一部として、確かに存在している。加藤の絵画の制作過程は、ポストカードを選ぶ(引用)、一部をトリミングしてキャンバスに描き付ける(複製)、複製したものを分割して配置する(再構成)というようになる。その一連の作業には、常に既存のイメージへの疑いが付きまとう。疑いの対象そのものを引用し、分割し、再構成していくことで、加藤は自身の認識を世界に問いているのである。
距離への違和感、輪郭への違和感、そして空間への違和感。世界へのあらゆる違和感がミニマルに、それでいてダイレクトに表現された加藤の絵画作品たち。本展覧会では、大型の新作を含む15点以上の作品を展示する。南青山の広々としたアートスペースで、世界への違和感が「世界への信頼」に置き換わる瞬間を体感しよう。
※敬称略
■概要
加藤崇亮 個展「Montage」
開催期間:10月14日(金)〜10月30日(日)
営業時間:13:00〜20:00
開催場所:Feb gallery Tokyo
住所:東京都港区南青山4-8-25
※お出かけの際はマスク着用の上、こまめな手洗い・手指消毒を行い、混雑する時間帯、日程を避けるなどコロナウィルス感染症対策を十分に行いましょう。
>>EDITOR’S VOICE
Feb gallery Tokyoから外苑西通り沿いに10分ほど歩いた場所には、ワタリウム美術館が。そこでは、現在「鈴木大拙展 Life=Zen=Art」を開催中です。7月から3ヶ月以上にわたって開催中の本展覧会も、いよいよ終盤。この機会にぜひ、足を運んでみてください。
Text:Arisa Watanabe
INFORMATION
Feb gallery Tokyoで加藤崇亮の個展「Montage」を開催
- 住所
- 東京都港区南青山4-8-25
- 営業時間
- 13:00〜20:00
- 定休日
- 月曜日・火曜日