AI時代のダ・ヴィンチ?
アーティスト・岸 裕真の個展「Moon?」が、神宮前BLOCK HOUSE2FのHARUKAITO by ISLANDにて開催中。2022年9月23日(金)〜10月16日(日)まで。
岸 裕真は、1993年⽣まれのアーティスト。2019年東京⼤学⼤学院⼯学系研究科修了、東京藝術⼤学先端芸術表現科修⼠課程に在籍し、AI(⼈⼯知能)を中⼼としたテクノロジーを駆使した作品を制作。AIを「Artificial Intelligence」ではなく「Alien Intelligence」(異質な知性)として扱い、ただ道具としてではなく“1つの知性”としてAIと共創することで、「⼈間とテクノロジー」の関係性を読み替えることを試みている。
本展は、全て新作で構成されており、AIと⼈の関係を、⽉と地球の関係にみたてた詩的な空間が提示される。この構成について岸はキュレーター・美術批評家、ニコラ・ブリオーの著書「ラディカント」を着想元としており、自らのルーツ(根)を固着させるのではなく、都度張り替える思想を、人間とAI、リアルとバーチャルという二項対立間の振動に当てはめることに挑戦しているという。
中でも目をひくのは、モネの睡蓮をモチーフにしたギャラリーの天井に展開されるインスタレーション作品。ガラス張りの天井に、3Dプリントされた睡蓮がうかび、根を失ったリミナルな空間(本来リミナルとは「境界」や「限界」を意味する言葉だが海外を中心にネット上では、ノスタルジーや喪失感、不安を覚える人工的な無人空間=「リミナル・スペース」を指す)を許容するための舞台装置となっているのが特徴だ。実際に、モネが描いた睡蓮は実像と虚像が同時に存在しており、こういったモチーフの借用によって岸は、現実とバーチャルが⼊り乱れた空間をつくりだすことを試みているのだそう。
また、会期終了後には展示会の構成要素を全てGitHubにオープンソースとしてアップロードすることで、展覧会自体を流動的な性質に還元する。空間設計には黒木契吾、メインビジュアルなど担当するアートディレクターに中村直人、エンジニアに中嶋亮介、サポートに寺脇麻依子など、さまざまなコラボレーションにより成り⽴っている本展。なかでも大きな構成要素となっている布施琳太郎による詩やテキストは、会期中・後GitHub上での発表を予定している。AI時代におけるダ・ヴィンチのような、岸 裕真の予測不能のバーチャル×現実世界が広がるHARUKAITO by ISLANDに、ぜひ足を踏み入れてみて。
■概要
岸 裕真 展示「Moon?」
開催日:2022年9月23日(金)〜10月16日(日)
時間:13:00-19:00
定休日:月、火、水
場所:HARUKAITO by ISLAND
※お出かけの際はマスク着用の上、こまめな手洗い・手指消毒を行い、混雑する時間帯、日程を避けるなどコロナウィルス感染症対策を十分に行いましょう。
>>EDITOR’S VOICE
HARUKAITO by islandから歩いて約8分、MIYASHITA PARK内のアートギャラリー・SAIではペインター・LY(リー)の過去最大規模の個展「This is LUV」が2022年10月15日(土)まで開催中。OMOHARAREALでは過去にインタビュー記事なども掲載しているので、ぜひ展示を観に行く前にチェックしてみて。
※敬称略
Text:miwo tsuji
INFORMATION
AIとアートを共創する岸 裕真の個展「Moon?」が神宮前・HARUKAITO by ISLANDで開催中
- 住所
- 東京都渋⾕区神宮前6-12-9BLOCK HOUSE 2F
- 営業時間
- 13:00-19:00
- 定休日
- 月、火、水
- 開催期間
- 2022年9月23日(金)〜10月16日(日)
