雑貨屋の奥にはヒミツの扉が…?
キャットストリートから一本裏手の路地に入った、人気飲食店が立ち並ぶエリア。ここに、注目のバーガーショップ「Jennifer Seven(ジェニファーセブン)」がオープンした。
場所は、食べログ百名店にも選出された有名バーガーショップ「THE GREAT BURGER」の隣で、店同士がライバル関係になるのは火を見るよりも明らかだ。しかし、どちらのショップも同じオーナーシェフ・車田篤氏が手がけているという。一体、どんな狙いがあるのだろうか?メディア向けの試食会にご招待いただいたので、早速足を運んでみた。
表向きのJennifer Sevenは、コーヒースタンドを併設した可愛らしい雑貨店。通りから一見するとハンバーガー屋さんで食事ができるようには見えない。しかし、それこそが狙いでありお店の面白い部分となっている。店内にある奥の扉を開くと想像以上に広い空間が口を開け、バーガーショップが現れるのだ。
隠れ家のようであり、秘密基地のようでもあるユニークな入り口に、ワクワクが抑えきれない。これはアメリカ禁酒法時代に隆盛した酒の密売所「スピークイージー(ブラインドピック)」をインスピレーションにしたそうだ。逆さに取り付けたマク◯ナルドの看板は「Welcome」を表しているそう。こういった遊び心が、随所に散りばめられている。
店の構造を情報として知ってはいても、いざその空間に飛び込むと驚きと感動を覚えずにはいられない。アメリカの100年近く続くダイナーや学食をイメージして作られたダイニングスペースは、古き良き洋画に出てきそうなオーセンティックなフードコートを思わせる。床材や天井も一般的なオフィスや学校、商業施設に使われる素材を使い、日常感を演出しているこだわりよう。
清潔感のある白とヴィンテージのウッドを基調とした空間に随所に取り入れられた、クラシックでリラックスなムードを感じる“ブルーグレイッシュグリーン”が差し色に映える。
オリジナルの紙ナプキンや、ずらっと並べられたアメリカを感じる調味料やドリンクが気分を上げてくれる。
特別に、厨房内の様子を撮影させていただいた。鉄板の上で、チーズをのせた肉厚なパティがジュウジュウと音を立てて焼かれている。聞けば鉄板や油の温度も決まっていて、ハンバーガーのクオリティーにぬかりがないのはさすがである。マスク越しでも伝わる香ばしい匂いがたまらない。
注文は、テーブルのQRコードから行う。編集部では、スタッフおすすめの「ジェニファーセブン チーズバーガー+フレンチフライ」と、オーソドックスな「オールドスクール チーズバーガー」に甘じょっぱい味付けがクセにになる「スイートポテトフライ」をチョイス。
出来上がったら、番号で呼んでくれるのでカウンターまで受け取りにいく。システムも学食っぽくてなんだか懐かしい気持ちになった。
左が「ジェニファーセブン チーズバーガー+フレンチフライ」(¥1,705)、右が「オールドスクール チーズバーガー(¥1,155)」+「スイートポテトフライ(¥880)」。
Jennifer Sevenで提供されるハンバーガーは、昔ながらのクラシックなスタイルとなっている。ボリューム重視のTHE GREAT BURGERとは異なり、食べやすいサイズと極めてシンプルな食材が特徴であり、“オールドスクール(=古き良き、古典的などのニュアンスを持つ言葉)”である所以だ。
しっかり焼き上がったサクサクのバンズに、玉ネギ特有の辛みを感じないシャキシャキフレッシュなスライスオニオン、ジューシーで肉汁滴るパティと、濃厚でちょっとスモーキーなチーズ。全てのバランスが完璧なハンバーガーだ。
メインの味を邪魔せず、ほどよく塩気のきいたフレンチフライも付け合わせにぴったり。さらに、さつまいもの甘みが際立つスイートポテトフライは、一度食べたら手が止まらなくなる美味しさ。サイズと量がちょうどいいので、別のハンバーガーをもうひとつ頼んだり、デザートにサンデーやパイをオーダーするのも良いだろう。
オープンキッチンなので、ヒップなスタッフたちがハンバーガーを作る様子も見られる。
お腹がいっぱいになったところで店を出ると、選りすぐりのヴィンテージ雑貨を物色。(入店時はハンバーガーにまっしぐら)。隣のTHE GREAT BURGERでもキャッシャー横にお土産コーナーはあるが、こういった楽しみ方ができるのもならではの特徴。マーケットトートなどの雑貨と一緒に、ちょっとした果物がゴロっと置いてある感じも海外っぽい。
海外の街角にある小さなデリや雑貨店を思わせる空間で足を止めて、おしゃれなアイテムたちをまじまじと眺める。
店名のロゴが入ったヴィンテージテイストのオリジナルアパレルも展開。刺繍と、染めの色が渋いクラシックシルエットのTシャツやキャップはちょっとしたギフトにもおすすめだ。
さらに、正真正銘のレアなアメリカンヴィンテージアイテムから、つい手に取りたくなるフリーメイソングッズまで、魅力的な商品が揃っている。Jennifer Sevenは、車田氏のアメリカンヴィンテージカルチャーへの愛とセンスが至るところで輝いていた。
「グルメバーガー店の隣に、あえてアンチグルメバーガー店を出す。グルメバーガー競い合い、どちらもより良くしていきたい」
Jennifer Sevenがあったのは元々、車田さんの手がける「THE LITTLE BAKERY Tokyo」があった場所。コロナ禍の影響で泣く泣く手放したという、移転前の場所に、自身のルーツでありコアである「ハンバーガー」のお店としてカムバックしたことは、車田さんにとっても大きな意味を持っているだろう。
「やりたいことやアイデアを全部詰め込んだ」と話す、車田さんの言葉からもその力の入れようがうかがえる。
オープン前、店の前を通ると灼熱の原宿で仕上げ作業を自ら行っていた車田さんを目にすることがあった。声をかけると額に汗をかきながら、笑顔で応えてくれる車田さん。自身もオープンを心待ちにしているのが伝わった瞬間だ。
アツい思いとユーモアが込められている、Jennifer Seven。THE GREAT BURGERと切磋琢磨しつつ、グルメバーガー路線とは一線を画す、オールドスクールハンバーガーブームを原宿の街から巻き起こしてもらいたい。
■概要
Jennifer Seven(ジェニファーセブン)
オープン日:2022年8月9日(火)〜
営業時間:11:00-22:00
席数:40 席(カウンター9席、テーブル18席、ボックス18席)
住所:東京都渋谷区神宮前6-12-6 J-cube C棟 1F