認識しないと世界は見えない
スパイラル1Fのスパイラルガーデンにて、60年代末~70年代にかけて起きた芸術運動「もの派」の主要メンバーであり、戦後日本美術を代表するアーティスト・菅木志雄の個展「有でもなく無でもなく」を、6月29日(水)~7月11日(月)の期間で開催する。
毎年精力的に個展を開いている、菅氏。「同じことはやらない」という思いで、毎回異なる関心を持って展示に臨んでいる。本展では、「有でもなく無でもなく」、「ものは定まった存在でなく(空)、常に変化し続けている」ことに着目し、作品を制作。壁面の立体作品含め、全て最新作で発表している。
本展に際し、菅氏は「待っている間にモノの存在など忘れてしまうことだってあるし、自分が必要とするリアリティーが失われてしまうことだってある。モノとはそういうものである。だからいつでも<無の状態>を想定していなければならない。それゆえあらかじめどんな周囲性によって支えられているか見きわめる必要がある。しかしどんな場合でもモノに固執してはならない。モノはいつでも人の知覚とはちがう流れの中にあるからである。モノは人に対応しているのではなく、有の無の領域に対応しているのである」とコメントを寄せている。
世界はもっと果てしないが、認識しないと世界は見えない。菅氏は、私たちが見過ごしがちな側面に根源的な気づきをあたえ、アートという方法を用いて世の中に問いかけ続けている。表参道からさまざまなカルチャーを発信するスパイラルで、“モノ”に対する解釈を深めよう。
■クレジット
画像1:積層空間 Layered Space 1968 / 2021
plexiglass, sawdust, cotton, ashes, plastic chips, soil 100.0 x 100.0 x 100.0 cm
画像2:外潜化 External Latency in Formation 2021
wood, acrylic, h.180.1 x w.135.0 x d.38.0 cm
画像3:中差空 Internal Discrepancy of Void 2021
wood, acrylic, h.188.2 x w.136.4 x d.10.5 cm
画像4:潜続化 Latent Continuity in Formation 2021
wood, acrylic, h.180.0 x w.134.8 x d.42.6 cm
画像5:通因 Passing Cause 2022
wood, acrylic, zinc plate h.183.1 x w.141.1 x d.13.4 cm
画像6:場況 Site of Conditions 2022
wood, acrylic, h.120.5 x w.90.0 x d.14.7 cm
画像7:依空性 Dependency of Void 2022
wood, acrylic, h.120.1 x w.90.1 x d.11.0 cm
画像8:間上遠 Space Over Distance 2022
wood, stone, h.109.9 x w.295.0 x d.25.7 cm
Photo by Kenji Takahashi
© Kishio Suga, Courtesy of Tomio Koyama Gallery
■概要
菅木志雄個展「有でもなく無でもなく」
開催期間:6月29日(水)~7月11日(月)
営業時間:11:00〜20:00
開催場所:スパイラルガーデン(スパイラル 1F)
住所:東京都港区南青山5-6-23
※お出かけの際はマスク着用の上、こまめな手洗い・手指消毒を行い、混雑する時間帯、日程を避けるなどコロナウィルス感染症対策を十分に行いましょう。
>>EDITOR’S VOICE
スパイラルから徒歩5分ほどの場所にある、青山のプライベートギャラリー「ダ・ヴィンチ・プロジェクト」で、アーティストGrimes(グライムス)の日本初展示を実施します。事前予約制となりますので、気になる方は公式サイトをご確認ください。
Text:Arisa Watanabe
INFORMATION
スパイラルガーデンで戦後日本美術を代表するアーティスト・菅木志雄の個展を開催
- 住所
- 東京都港区南青山5-6-23
- 営業時間
- 11:00〜20:00
- 定休日
- 会期中無休