シャボン玉や羊膜に包まれているような感覚
鵜飼美紀の個展「共有する範囲について」が、ギャラリークトーにて開催中。2022年5月28日(土)〜6月14日(火)まで。
鵜飼美紀は、ラテックスを主素材に制作を行うアーティスト。本展では、室内から鑑賞するにとどまらず、外から覗き見ることでまた違った作品の見え方を楽しめる。向かって、まず目に飛び込むのは、ギャラリーの一面を飾る窓の外から視える“飴細工”のような巨大な何か。実際にギャラリー内へと足を運ぶとそこに現れるのは、部屋一面を覆う木枠とラテックスの作品。薄い皮膜のようなベッコウ色の素材から室内の蛍光灯の光が透過され、まるで自分がシャボン玉や羊膜に包まって守られているかのように感じられる空間へと仕上がっている。
今回の個展は、2000年に静岡県立美術館で行われた『鵜飼美紀 restless・restful』 展の代表的作品の小品展開や、昨年から取組む空間を覆うコンセプトをギャラリークトーの小さな空間に合わせて制作したもの。ラテックス、そしてギャラリーと同寸法の木枠が、大胆に部屋を分断しているのも見どころだ。
また、本作品は会期中にも変化が見られる。ラテックスの特徴から数年を要して硬化し、また空気中の状態により亀裂が入ったりと、その変化を感じながら共に歩む事その物が、彼女の”生きた芸術”を表現するという事の楽しさへと繋がっているのだ。いま世界的に注目を受けている日本の現代美術「もの派」の流れを汲む新進気鋭の女流作家・鵜飼美紀の世界観を、ぜひ身をもって体感して。
■概要
鵜飼美紀 個展「共有する範囲について」
開催日:2022年5月28日(土)〜6月14日(火)
時間:13:00-18:00
休廊日:水、木、金
入場料:無料
場所:ギャラリークトー
※お出かけの際はマスク着用の上、こまめな手洗い・手指消毒を行い、混雑する時間帯、日程を避けるなどコロナウィルス感染症対策を十分に行いましょう。
>>EDITOR’S VOICE
ギャラリークトーから歩いてすぐのBOOKMARCでは、英国人フォトグラファーのデニス・モリスの写真展が2022年6月22日(水)まで開催中。レゲエ・ダブミュージックのキング、リー・スクラッチ・ペリーを晩年まで撮影し続けた貴重な写真群を観ることができる特別な展示となっているので、気になる方はこちらもお見逃しなく!
※敬称略
Text:miwo tsuji
INFORMATION
「ラテックス」を主素材に制作するアーティスト・鵜飼美紀の個展がギャラリークトーで開催中
- 住所
- 東京都渋谷区神宮前4-25-7コーポK103
- 電話
- 03-6881-9936
- 営業時間
- 13:00-18:00
- 定休日
- 水、木、金
- 開催期間
- 2022年5月28日(土)〜6月14日(火)